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人工腎臓

医療技術 慢性疾患

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持ち運べる透析器出現か?

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腎臓の機能が低下すると、老廃物を体外に排出できなくなるため、尿毒症にかかり命を失うこともあります。

 

糖尿病や高血圧により、腎臓の機能が徐々に損なわれる、慢性腎臓病にかかった場合は、腎臓移植か透析が必要となります。

 

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Credit:  The Kidney Disease Solution Review

 

ドナーから移植を受ける場合、脳死となった人から腎臓の提供を受けた場合血液型やHLA型が適合しない場合は免疫抑制剤を生涯飲み続ける必要があります。

 

ドナーが親族である場合で、HLA型が適合している場合は拒絶反応も起こりにくいので免疫抑制剤を服用する必要がありません。この場合が最も患者の負担は少ないのですが、提供親族は腎臓の半分を提供するためドナーもレシピエントも精神的負担は大きくなります。

臓器移植は提供を受ける可能性が少ないため、通常は透析を受けることになります。透析も患者の負担が大きく、生活が大幅に制限されます。

 

腎不全のために世界に200万人以上の人が透析を受けています。患者は飲食で厳しい制限に従わなければなりません。

 

現在の医療では、1回の透析時間を長くして、回数を増やすことで透析の成果を向上させることが出来ます。しかし、患者は病院で透析を受けなければならないため、時間の多くを透析に費やさねばなりません。この結果、患者は日常の生活が大幅に制限されてしまいます。

 

透析の不便を解消するためにウエラブルやポータブルの人工腎臓が研究されています。

 

ウエアラブルな人工腎臓は透析が必要な腎臓病患者の生活の制限が大幅に減ります。

 

この度開発されたウエアラブルの人工腎臓は透析装置の代わりに使用することが出来ます。

 

オランダのユトレヒト大学メディカルセンターの研究チームはこの度ウエアラブルの人工腎臓を研究成果を発表しました。

 

研究チームは現在の透析法より患者に自由があり、完全な社会復帰が出来、寿命が延ばせる透析方法を研究しています。

 

このウエラブルの人工腎臓を使って、平均15ヶ月間透析行っていた末期腎臓病の患者11名に対して24時間のウエアラブル装着試験を行いました。

 

5名の被験者が計画通り24時間の装着試験を完了しました。

 

しかし、途中で困難な事態も生じました。1名の被験者は血液回路に血栓が生じたため治験を中止しました。2名の被験者は24時間経過する前にバッテリーの交換が必要でした。他の3名の被験者は血液回路に泡が発生したため、治験を中止しました。

 

装置に生じた様々な技術的課題が判明したため、治験は早期に終了せざるを得ませんでした。

治験においては、被験者に重大な合併症は出ませんでした。すべての被験者は人工腎臓の治療を受けている間、自由に外出できました。少しの副作用はありましたが、被験者はこの装置に満足し、治療の便利さと柔軟性、及び自由な生活を実感することが出来ました。

 

長期の治験に入る前に、装置の再設計や再調整が行われる予定です。

 

人工腎臓の働きが安全で有効であることの証明に長い時間が必要ですが、完成すれば、腎臓病患者が容易に生活できるようになります。

 

まだ、解決しなければならない技術的問題がありますが、近い将来ウエラブルやポータブルの人工腎臓は現実のものとなるでしょう。

 

ウエラブルやポータブルの人工腎臓は透析に革命をもたらすことでしょう。

 

現在考えられる重大な問題として、装着時の故障は患者の生命に関わるため、

安全装置が不可欠でかつ、正しく動作していることが常時モニターでき、簡単にかつ安全に取外ことが出来なければなりません。

 

欧米ではウエラブルの人工腎臓が研究されていますが、日本ではiPS 細胞から作られる腎臓の実用化が進むことに期待が集まっています。

 

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