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医学よもやま話

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代替医療

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鍼の可能性

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鍼は今から2000年以上昔に中国で生まれ、漢の時代に東洋医学として定着しました。日本へは6世紀に朝鮮半島を経由して伝わり、室町時代に経穴と経脈の研究が進み、徳川時代になると日本独自の管鍼法が発明されました。これにより、施術者が患者に痛みを与えること無く治療することが出来、爆発的に普及しました。明治になると、政府は東洋医学を捨て、西洋医学を採用することになり鍼は次第に衰退してゆきました。戦後は「あん摩マッサージ指圧師、鍼師灸師等に関する法律」により、国家資格として認められるようになりました。近年では東洋医学が見直されてきて、現在では代替医療の1つとしての地位を確立しています。

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鍼は、細い針を皮膚とその下の組織に挿入して、体のツボを刺激します。ツボを刺激するとエネルギー経路(体内で生命エネルギーが通っていると考えられる箇所)の気の流れを開放し、これによりバランスを取り戻せると考えられています。古典的な鍼では、1年365日に対応した365個のツボがあり、鍼と占星術の歴史的関連性を反映しています。時代を経て、ツボの数は2000以上に増加しています。

 

施術は一般に無痛で行われますが、場合によってはチクチクする痛みあります。針を回転させたり、暖めると刺激が増加します。

 

鍼のツボは次の方法で刺激することも出来ます。

  • 圧力(指圧)
  • レーザ
  • 超音波
  • 鍼に印加した低圧電流(電気鍼)

 

このように新たらしい鍼技術が続々と開発されています。

 

鍼の治療根拠と効果

 

研究によれば、鍼によりエンドルフィンを含む天然の鎮痛剤として機能し、化学伝達物質が脳内で分泌されることが分かっています。手術後や歯科治療後の鎮痛手技として鍼が使用されています。

 

鎮痛効果としての潜在的有効性の他、鍼は妊娠又は手術や癌治療の化学療法後のむかつきや嘔吐の軽減に役立っています。

 

総合的な治療計画の一部として(時に、付随した治療として)、薬物依存症、手根管症候群、頭痛、腰痛、変形性関節症、及び口内乾燥(癌が進行した状態)の治療に有効とされています。

 

鍼は脳卒中のリハビリや体外受精の成功率向上に効果があるとされています。しかし、巷間言われているような、鍼が喘息患者の肺機能向上やリュウマチ性関節炎患者の関節機能向上に効果については立証されていません。また、鍼は禁煙や減量には効果がありません。

 

副作用と禁忌

 

世界中で、毎日数百万人の患者が鍼治療を受けています。施術者が適切に施術を行えば、副作用はありませんが、次の副作用に注意が必要です。

 

  • 症状が一時的に悪化することがあります。
  • 有資格の施術者は使い捨ての針を使うので、感染事故はほとんど起こりません。再利用針を使用するときは、完全な殺菌が必要です。
  • 人によっては気を失うことがあります。
  • 重度の出血障害がある人やワファリンなど抗凝血剤を服用している人はアザができたりや出血する場合があります。
  • ペースメーカや除細動器を体内に埋め込んでいる人は電気鍼を使用することは出来ません。
  • 鍼はむかつきの抑制、逆子の解消、および分娩調整のような妊娠期間での利用が提案されていますが、鍼は子宮収縮を誘発する可能性があるので、専門の訓練を受けた施術者が行う必要があります。
  • 針を胸部に深く刺すと肺が潰れ、気胸になる場合があります。

 

鍼に対する有効性を過大評価している国もあります。例えば、中国で行われている研究の99%では鍼の有効性を評価しているのに対して、世界平均では75%です。

 

有資格者から鍼治療を受けた場合は、副作用は現れていません。しかし、施術の効果や安全性は施術者により大きく異なります。

 

鍼は医学の進歩とともに新たな可能性があります。

 

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