読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

医学よもやま話

医学情報をご提供します。

スーパバグ

感染症

advertisement

人類絶滅の危機

****

 

あらゆる抗生物質が効かない細菌を多剤耐性菌またはスーパバグと呼びます。老人や、他の病気にかかり抵抗力が落ちた時にスーパーバグによる感染を引き起こすことがあります。

 

f:id:tpspi:20160604104442p:plain

イメージ出典: DISTURBING' DRUG-RESISTANT SUPERBUG RATTLES GLOBE

 

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)はスーパーバグにより、全米で年間約200万人が感染し、約2万3000人が死亡していると予測しており、世界では約70万人が死亡し、2050年には世界で年間1000万人が死亡すると推定しています。癌、糖尿病、心臓病等による死者数を大幅に上回る恐れがあります。

 

アメリカでは2016年5月にすべての抗生物質が効かないスーパーバグによる感染者が出ました。この患者は尿路感染症に罹った49歳の女性で通常の抗生剤が効かず最後に使う抗生剤であるコリスチンでも完治しませんでした。

 

この女性から検出された細菌は腸内にいる大腸菌で、尿管から膀胱に入って感染しました。

近年、細菌が抗生剤に対して耐性を持つようになっているため、医療関係者は脅威を感じています。使える抗生剤がなくなってきており、使え薬剤は人体に有害です。

 

現在のところ、重大な局面には至っていませんが、治療の範囲は狭くなっています。この問題はG7サミットでも取り上げられるほど重要な問題になってきています。

 

サミットでは、薬剤耐性菌(AMR:抗生物質に抵抗性を持った菌)が増加し,既存の抗生物質では治療効果のない感染症が世界的に増加し、新たな抗生物質の開発は減少傾向にあり,このままでは感染症の治療法がなくなる危険性が指摘されました。

このスーパーバグの問題は2015年に中国で最初に報告されました。それ以来、ヨーロッパに飛び火し、この度、アメリカでも見つかったわけです。これまでのところ、調査が始まったばかりなのでまだ十分な情報が集まっておらず、感染源は特定されていません。

 

これらのスーパーバグは病院や我々の身近にもいる細菌です。

 

アメリカで見つかった患者はスーパーバグを他の人に移している可能性があります。この菌に感染している人を見つけたら、症状がなくとも、難しい問題に直面します。誰が最初に感染したかが問題となるからです。

 

この女性感染者は最近5ヶ月間海外に出ていません。これはヨーロッパや中国で接触したかが問題となります。5ヶ月前に彼女に何が起こったかです。そして、彼女はどこへ行ったかです。人はこの場合のように感染しても長期間症状がでない場合もあるからです。

 

幸い、抗生剤が効かない患者は非常に少数です。普通の人には抗生剤が効きます。稀に起こる場合に対して、最善を尽くし、対処療法を行い、患者の体が感染に打ち勝つような治療を行わなければなりません。

 

検査機関はスーパバグの拡散の可能性について注意を払っており、検出するための準備を整えています。細菌がスーパーバグで無くとも複数の細菌に耐性があれば、検査機関は警告を出します。感染防止のため病院内に感染防止対策を行います。

長年に渡り製薬会社が抗生剤の開発を行ってきました。しかし、製薬会社は抗生剤の開発は費用効果が良くないと考えており、代わりに血圧降下薬やコレステロール降下薬のように患者が服用し続け、利益の出る薬の開発に力点をおいています。

 

抗生剤は非常に短期間、服用するものです。さらに、普段は使われずに、限定的な場合に限り服用される薬の開発はビジネスとして成立しません。そこで、政府は税金を使って製薬会社に抗生剤を開発させる必要があります。

 

耐性菌が増加しないように我々が行うべきこととして、第一に、処方通りに抗生剤を服用すること、第二に、自分の考えで抗生剤を服用しないこと、服用する薬、量、期間が誤っていると、耐性菌が増えてしまいます。第三に、風邪を引いた時医師に抗生剤を処方してもらわないことです。風邪のウイルスには抗生剤は効かないからです。医師は抗生剤の処方により慎重になるべきです。

 

グローバル化の時代において、地方の風土病が全世界に広がり、パンデミックスを引き起こします。製薬会社の利益主義、政府の無策、医師の不勉強により人類は絶滅の淵に立っていると行っても過言ではありません。

 

Related Topics

感染症の検査方法

抗生物質と耐性菌