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MRI 磁気共鳴画像法

医療技術

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致死率の高い疾病を見つけてくれる現代の救世主

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MRIの歴史は1946年にFelix Bloch、Edward Purcell がNMR(核磁気共鳴)信号を発見したことに始まります。1982年に中津川市民病院に日本国内で最初に診療用のMRI装置が導入されました。2003年にはMRI装置を発明したP.Lauterbur とP.Mansfieldにノーベル医学生理学賞が授与されました。

現在、日本では約6000台のMRI装置が全国至る所で作動しており、重大疾病の診断に使われています。

 

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MRI装置は強力な磁場と高周波を使用して非常に詳細な画像を作ります。MRI装置はX線を使用しないため、常に非常に安全です。

 

 

MRI装置の動作

 

MRI装置の受診者は検査台の上に横になります。検査台がMRI装置の内部に移動します。MRI装置は強力な磁場を作り出します。通常、組織内の陽子はランダムに動いていますが、陽子がMRI装置から強力な磁場を受けると、陽子は磁場に沿って整列します。

 

装置が高周波パルスを放出すると、整列していた陽子は瞬時にバラバラに動き出します。陽子がMRI装置から再び磁場を受けると、陽子は整列しエネルギーを放出します。このエネルギーが信号として取り出されます。信号の強度は組織により変化し、この信号の変化が記録され、解析されて画像が作られます。これら一連の処理はコンピュータにより行われます。

 

MRI装置で受診者の患部の組織を検査するときは、通常、常磁性体のガドリニウム造影剤を静脈または関節に注射します。ガドリニウムは磁場を変化させて画像を鮮明にします。

 

MRIの検査は通常20から60分で終了し、検査後は、受診者は直ちに普通の生活に戻れます。

 

MRIの用途

 

MRIは特に軟組織、例えば脳、脊髄、筋肉、及び肝臓の異常(腫瘍)を詳細に調べるとき使用されます。

 

更に、MRIは脳腫瘍や脳膿瘍、女性の生殖器の異常や腰と骨盤の骨折、関節の異常(膝の靭帯や軟骨の断裂など)や捻挫、や出血や感染の診断にも使用されます。

 

この他、MRIはCTでのリスクが高い場合に使用されます。CTではヨード造影剤と放射線が使用されるために受診者にアレルギーがあったり、妊娠している場合にはMRIが使用されます。

 

MRIではガドリニウム造影剤を静脈に注射することにより、炎症、腫瘍、及び血管を調べることが出来、関節に注射することにより、関節の異常、特に靭帯や膝の軟骨または背骨の椎間板ヘルニアや破裂を調べることが出来ます。

 

MRIの欠点

 

MRIの検査はCTより長くかかります。そのため、緊急を要する場合、例えば重症患者や脳卒中患者ではCTが使用される場合があります。更にMRIの費用はCTより高額です。

 

 

狭い空間で検査を受けることの問題

 

MRI装置内のスペースは狭く、受診者は装置に取り囲まれるために、閉所恐怖症でなくても、閉塞感を感じることがあります。

 

開放型MRI装置では一方が開いており、内部が広くなっています。閉塞感なく、肥満の人も容易に検査を受けることが出来ます。

 

磁場の影響

 

MRI装置により影響を受ける体内埋め込み装置として心臓ペースメーカー、除細動器、移植蝸牛刺激装置、及び動脈瘤治療用の帯磁金属クリップがあります。MRI装置が作り出す磁場はこれらの装置を移動、加熱、または誤作動させてしまいます。装置が体内に埋め込まれてから6週間以上経過していれば、瘢痕組織が形成されているので、装置の移動は防げます。更に、体内に埋め込まれた装置はMRI画像を歪める恐れがあります。

 

これに対して、歯科用のインプラント、人工股関節、背骨矯正ロッドはMRIの影響は受けません。

 

MRI用造影剤に対する副作用

 

ガドリニウム造影剤の副作用として頭痛、むかつき、注射部位で痛みと冷感、味覚異常、及びめまいを引き起こすことがありますが、CT血管造影で使用されるヨード造影剤と比較して重大な副作用を起こす可能性は非常に低くなっています。

 

しかし、ガドリニウム造影剤を腎機能に障害がある人や透析を受けている人に使用すると腎性全身性線維症を起こす恐れがあり、死に至る場合があります。

 

MRIは致死率の高い疾病を見つけてくれる現代の救世主です。

 

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