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脳の関所

脳科学

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脳血液関門に化学療法薬剤を通す

 

脳血液関門は脳を守るバリアーであり、血液中の毒素が脳に流入することを防いでいます。このバリアーは極めて狭い間隔で配置された毛細血管壁の細胞から構成されています(毛細血管で血液と組織間で栄養分と酸素が交換されます)。

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このバリアーは脳に流入する物質の種類を制限します。例えば、このバリアーはペニシリン、多くの化学療法薬剤、およびほとんどのタンパク質を脳に流入させません。他方、このバリアーはアルコール、カフェイン、およびニコチンなどの物質は脳に流入させます。

 

ある種の薬剤、例えば、抗鬱剤はバリアーを通るように創られています。しかし、脳で必要な物質、例えば、グルコースやアミノ酸をバリアーを通すことは容易ではありません。

 

しかし、バリアーは脳が必要する物質を脳の組織に移す輸送システムを備えています。人間がある種の感染病に罹患したり腫瘍が出来て脳に炎症が出来ると、バリアーは透過性を持つようになります。

 

バリアーが透過性を持つと、通常、脳には通らないある種の物質(たとえば、ある種の抗生物質)を通すようになります。

 

セントルイスのワシントン大学医学部の研究チームは全く新しい手法で化学療法薬剤を脳血液関門を通ことに成功しました。

 

これまでは、脳に出来た腫瘍は手術または放射線で除去していましたが、研究チームはレーザを使って化学療法薬剤を脳血液関門に通す手法の開発に成功しました。これにより、薬剤が脳の腫瘍に到達し、腫瘍を消滅させることが出来るようになりました。

 

レーザ治療により4から6週間、薬剤を脳血液関門を通すことが出来るようになり、脳腫瘍の患者に化学療法薬剤を投与することが可能になりました。

 

治験は14名の神経膠芽細胞腫を発症した患者に行われました。

研究チームは患者の生存率と臨床結果は予想以上のものであったと言っています。

 

研究では最小侵襲レーザ技術は脳腫瘍の治療として米国FDAにより認可されたものが使用されました。

 

神経膠芽細胞腫は難治療性の癌であり、米国ガン協会によればほとんどの患者の生存期間は15ヶ月にすぎません。

 

この研究により脳腫瘍の薬剤治療の突破口が開かれました。

この治療方法は患者やその家族を苦しめている致命的な脳腫瘍の新たな治療法として期待されています。

 

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Keywords

神経膠芽細胞腫 glioblastoma;脳血液関門 blood-brain barrier;毛細血管壁 capillary wall