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臭い匂いの科学

健康 感染症

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エチケットのための行為が健康を損ねる原因になるかもしれない

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我々は体臭を消すために、制汗剤や消臭剤をたっぷり使います。

これらの製品を腋の下に噴きかけることにより、腋の下の繊細な生態系が変化しないでしょうか?

 

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最新の研究によれば、これらの製品の使用により、腋の下の生態系が変化することが分かりました。

 

研究チームは人間や猿の腋の下は進化の可能性についての重要な研究分野だと考えています。腋の下は体の他の部位から影響を受けないので、腋の下では微生物は自由に増殖します。腋の下には体臭を出す腺が集まっています。人間以外の動物では、この体臭は動物が配偶者を見つけ、遺伝物質を後世に伝えていくのに影響を及ぼします。

 

研究チームは17名の被験者の腋の下に生息している微生物を分析しました。これらの被験者を制汗剤使用グループ、消臭剤使用グループ、それに何も使わないグループに分けました。

 

研究者チームは綿棒を使用して、腋の下から分泌液を採取し、分泌物中の微生物を培養し、それらのDNAを分析しました。製品を使用しない期間が長いほど、微生物のコロニーが劇的に増大することが分かりました。制汗剤を使用すると、微生物はほとんど死滅しました。

 

これに対して、微生物相においては消臭剤の効果は無視できるものでした。

実際、消臭剤を使用した被験者の腋の下の微生物は使用しない被験者のものより多いことが分かりました。人が消臭剤と言う時、多くの場合、制汗剤を意味しています。研究結果から、制汗剤は微生物を殺すのに役立つことが分かりました。

 

制汗剤が実際に汗腺を塞ぐ(消臭剤は単に微生物の匂いのする分泌物の匂いを消す)ことからすれば、研究結果は驚くものではありませんでしたが、被験者が製品を使用するのをやめてから数日で被験者の腋の下の微生物相が変化したことは想定外のことでした。

 

製品を使わない被験者のグループの腋の下から検出された細菌の約62%はコリネバクテリウム属菌でした。この菌は常在菌で無害です。この細菌が体臭主要な原因です。この細菌が人間の汗を摂取し代謝し、人間の鼻が悪臭と感じるガスを分泌します。製品を使わない被験者のグループ細菌の約21%はスタフィロコッカス科の細菌でした。

 

DNA分析では、どの種類のスタフィロコッカス科の細菌が被験者の腋の下にいるかに的を絞ることが出来ませんでした。MRSAなどの感染症を引き起こす細菌は検出された細菌の一部に過ぎず、細菌の多くは人間の健康に有益である細菌でした。そこで、腋の下には抗生物質などの薬に対して耐性のある細菌(スーパ細菌)で溢れていると考える必要はありません。これらの微生物の変化は全く害がなく人間には利益があることが分かりました。

 

得られた結果から、日常の習慣が体に住み着いている微生物に影響を与えていることが分かりました。消臭剤や制汗剤を使うことにより、体の微生物相がどのように変化するかが分かりましたので、これらの製品が病気、耐性菌、さらには人間が進化の影響についての研究につながるでしょう。身づくろい、入浴、など日常の習慣が微生物相に影響をあたえている可能性があります。

 

エチケットのために使う製品が健康を損ねる原因になるかもしれません。

 

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Keywords

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 MRSA;コリネバクテリウム属菌 Corynebacteria;進化の可能性 evolutionary potential;スタフィロコッカス科 Staphylococcaceae family;生態系 ecosystem;腺 gland;微生物 microbe