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医学よもやま話

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市販薬で認知症患者の脳の萎縮が進行する?

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自分の命は自分で守る

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軽い頭痛を感じたり、風邪を引いたり、花粉症で鼻水が出る場合は、医師の処方箋がなくとも薬局で市販薬を購入して、治すことが出来ます。

 

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体の不調を治したり、軽減するために市販薬に走る行為は軽率な行為かもしれません。

 

米国医師会神経部会の会報JAMA Neurologyでは普通の市販薬を服用している高齢者で認知障害が出とする研究論文を掲載いしています。

 

インディアナ大学医学部の研究チームは抗コリン薬と認知障害のない高齢者(65歳以上でアルツハイマー病や痴呆の症状がない高齢者)における認知機能の関係性を研究し、結果を発表しました。

 

研究結果から喘息、痙攣、不眠症、およびアレルギーのような病気の治療薬が脳の萎縮や脳に重大な障害をもたらすグルコース代謝を低下させる恐れがあることが判明しました。

 

研究責任者は抗コリン作用薬は服用する必要がなければ家族には勧めないと言っています。

 

抗コリン作用薬は一般にはなじみが薄い薬ですが、アメリカではベナドリル、ソラジン、ザンタックなどの製品名で市販薬として使用されています。今回の研究は抗コリン作用薬と認知障害および痴呆のリスク増加の関係についての過去の研究に基いて行われました。

 

これらの研究から抗コリン作用薬は脳に認知障害や痴呆のリスクが高めることが分かりました。

 

今回の研究では、PETやMRIスキャンにより抗コリン作用薬の服用者の脳の構造や記憶、認知機能が測定されました。

 

抗コリン作用薬を服用した高齢者は言語的推論、計画、及び問題解決の広範な脳の機能と共に短期記憶が衰えることが分かりました。

 

さらに、抗コリン作用薬の服用者では脳全体及び感情や記憶に関係する脳の器官である海馬の両方でグルコース代謝のレベルが低下していました。MRIスキャンにより抗コリン作用薬の服用者の脳の体積が低下していることも分かりました。

 

これらの研究結果から抗コリン作用薬に関係した認知機能の障害に対する手がかりが得られましたが、関係するメカニズムを理解するには更なる研究が必要となるでしょう。

 

サンプル数が少数であるために、知見における因果関係を決定することはできません。グルコース代謝の低下や脳の萎縮は抗コリン作用薬の服用ではなく健康状態の悪化によるものかもしれないからです。今後は、研究結果を裏付けるために、薬の服用履歴の評価をより徹底的に管理した大掛かりな研究が必要となるでしょう。

 

市販薬でも漢方薬でも成分として抗コリン作用薬が含まれていないかに十分注意する必要があります。知らないで長期間服用すると、脳が萎縮して認知症になる恐れがあります。処方薬でも、このことを十分理解して、医師と相談のうえ服用すべきです。

 

一般患者は医師の専門領域には踏み込めませんが、医療に関するニュースには敏感になって、自分の体に為すことや為されることに関心をもつことが必要です。

 

医師は患者一人一人から多額の報酬を受けているわけではありません。自分で補完する必要があります。自分の体は自分で守る必要があります。

 

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Keywords

アルツハイマー病 Alzheimer’s disease;海馬 hippocampus;グルコース代謝 glucose metabolism;痙攣 cramp;言語的推論 verbal reasoning;抗コリン作用薬《副交感神経抑制薬》 anticholinergic;ザンタック Zantac;市販薬 OTC medicine;米国医師会神経部会誌 JAMA Neurology;喘息 asthma;ソラジン Thorazine;短期記憶 short-term memory;痴呆 dementia;脳の萎縮 brain shrinkage:不眠症 insomnia;ベナドリル Benadryl