医学よもやま話

医学情報をご提供します。

感染症の検査方法

advertisement

感染症は細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの微生物により引き起こされます。それぞれ対応する薬剤で治療を行います。

 

患者の症状、検査結果、及び感染のリスク要因に基づいて感染の種類を判断します。患者の疾病が他の病気ではなく、感染でかることを確認する必要があります。

 

患者が、咳と呼吸困難の症状があれば肺炎、あるいは喘息または心臓病かもしれません。胸部X線を使えば、肺炎か他の疾病かを区別することが出来ます。

 

f:id:tpspi:20160420094145j:plain

 

感染症に患っていることが分かったら、感染微生物を特定する必要があります。

 

多くの微生物が感染症を引き起こします。例えば、肺炎は、ウイルス、細菌、まれに真菌が引き起こします。治療方法は原因微生物の種類により異なります。

 

多数の検査により、微生物の種類を特定します。検査では血液、尿、唾液、他の体液、または体の組織を採取します。

---

1種類の検査だけでは、微生物を検出することはできません。ある微生物を検出するための検査は他の微生物の検出には使えません。病気を引き起こしている可能性が高いと思われる微生物に基づいて検査方法を選択します。

 

検査結果にもとづいて、数種類の検査を行うこともあります。複数の検査を行って、感染を引き起こしている微生物を絞り込んでいきます。正しく検査を行われなければ、感染の原因を特定することはできません。

 

検査のために採取された唾液、便、鼻や喉からの粘液には病気の原因でない多くの種類の細菌を含んでいます。

 

微生物が検出できたら、その微生物に対してどの薬が最も良く効くかを調べます(感受性検査)。検査結果にもとづいて薬を選択し、治療に使用します。

 

染色及び顕微鏡検査

微生物が光学顕微鏡で検出できることもあります。

 

サンプルを特殊な染料で染色して、微生物を背景から引き立たせます。ある種の微生物は大きさ、形状、染まった色からその種類が特定出来ます。

 

ウイルスは電子顕微鏡で特定できます。

 

細菌はグラム染色(紫色の染色)法で特定出来ます。細菌はグラム陽性菌(細菌は紫色のグラム染色を有するので青く見える)とグラム陰性菌(細菌は染色を持たないので赤く見える)に分類されます。

 

細菌がグラム陽性菌またはグラム陰性菌かにより、薬を選択し、治療を行います。グラム染色法に加えて、予測される微生物に応じて他の染色法も使用出来ます。

 

培養及び感受性試験

培養

微生物を特定するために培養を行います。微生物が存在している可能性のある体の部位からサンプルを採取します。サンプルとして、血液、唾液、尿、大便、体の組織、鼻、喉、性器からの粘液があります。

 

サンプルは微生物の増殖に必要な栄養物を満たした皿または試験菅の中に入れます。予測される微生物に応じた栄養物を与えます。さらに、病気を引き起こさない微生物の増殖を抑えるための物質を与えます。

 

尿路感染や敗血性咽頭炎を引き起こす細菌などの多くの微生物は容易に培養出来ます。梅毒を引き起こす特定の細菌は全く培養できません。結核を引き起こす細菌は培養出来ますが、増殖には数週間が必要です。ある種のウイルスは培養は出来ますが、ほとんどのウイルスは培養できません。

 

感受性試験

一般に微生物にはどの抗生物質が有効かが判明していますが、微生物は絶えず薬に対して耐性を獲得します。

 

従って、患者が感染している微生物に対して抗生薬がどのくらい効くかを判定するための感受性試験を行います。

 

感受性試験を行うときは微生物を培養します。微生物が培養により増殖すると、複数の種類の抗生薬を微生物に与え、どの抗生薬が微生物に効くか調べます。

 

さらに、微生物が薬に対してどのくらい感受性があるか調べます。すなわち、微生物を殺すためにどのくらいの薬が必要かを調べます。

 

必要に応じて、遺伝子検査を行います。ある種の抗生薬に耐性を持つ微生物の遺伝子を検出します。例えば、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌はmecA遺伝子で特定出来ます。

 

感受性試験は検査室で行うため、検査結果は常に正確であるとはいえません。薬を服用する患者の状態により薬の効き目は変化します。薬が患者に効くかどうかは患者の免疫系が良好に機能しているか、患者の年齢、患者に他の疾患があるか、および患者の体が薬をどの程度吸収し処理するかで変化します。

 

微生物に対する抗体検出試験

梅毒を引き起こす細菌のような微生物は培養できません。そのような感染を診断するために、微生物の抗体を検査します。抗体は感染した患者の血液を使って検査します。抗体は脊髄液または他の体液で検査することも出来ます。

 

抗体は体の免疫系が作り出す物質で感染を防止に寄与します。白血球が異物または細胞に遭遇すると、白血球から抗体が作られます。抗体を作り出すのに数日が必要です。抗体はこれが作られる契機となった特定の異物を認識し標的とします。従って、抗体は特定の微生物のために作られます。

 

もし、患者が特定の微生物に対して抗体を持っていると、患者はその微生物にすでに感染したことがあり、免疫反応を行っていることを意味します(抗体は免疫系の一部です)。

 

しかし、感染病を治癒した後も暫くの間、多くの抗体は体内に残っているため、患者に抗体があっても、患者が現在、微生物に感染していることを意味しません。検出された抗体は以前の感染によるものである場合があるからです。

 

予測される感染病により、数種類の抗体を検査します。抗体の存在だけを検査することもありますが、通常、抗体の量を検査します。

 

サンプルを1/2に希釈してサンプルが抗体に対して陽性を示さなくなるまで繰り返して、抗体の量を検査します。検査結果が陰性となるのに希釈が多ければ多いほど、抗体の量は多いことがわかります。

 

検出可能な量の抗体を免疫系が作るのに数日から数週間かかるので、感染の診断が遅れることがあります。

 

患者が病気になった直後に行われる抗体検査の結果は通常陰性です。従って、サンプルを直ちに採取し、数週間後にもう一度サンプルを採取して、抗体のレベルが増加したかを調べます。

 

患者が病気に罹った後に行われた最初の検査で抗体のレベルが低いときは、数週間後に抗体レベルが上昇していれば、患者は現在感染症に罹っていることが分かります。

 

微生物の遺伝子検出試験

微生物の培養や他の方法で検出が困難な場合は、微生物の遺伝子を検査します。遺伝子は核酸であるDNAまたはRNAから出来ており、ポリメラーゼ連鎖反応を利用して遺伝子を検査します。

 

遺伝子検査では微生物が特定されます(定性検査とよびます)。すなわち、C型肝炎ウイルスの遺伝子検査ではこのウイルスのみが検出され、他の微生物は検出されません。従って、遺伝子検査を行うときは、特定の病気を推測して行います。

 

遺伝子検査では特定の微生物たとえばHIVやC型肝炎ウイルスの遺伝子量が測定出来ます(定量検査と呼びます)。従って、ウイルス感染がどのくらい重いかが判定出来ます。定量検査は薬がどのくらい効いているかを調べることが出来ます。

 

遺伝子検査は微生物が薬に対して耐性を持つ遺伝子または遺伝子変異があるか調べるために行います。

 

すべての耐性変異は知られていないため、遺伝子検査が常に正確であるとはいえません。従って、可能性のある耐性の遺伝子すべてを調べることはできません。また、この検査は高額な費用がかかるため、広くは普及していません。まだ、数種類の微生物にのみ利用可能にすぎません。

 

Related Topics

子供には恐ろしく、大人にはありがたい存在

 

Keywords

遺伝子変異 gene mutation;遺伝子 genetic material;ウイルス virus;黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus;感受性試験 susceptibility test;感染症 infectious disease;寄生虫 parasite;グラム陰性 gram-negative;グラム陽性 gram-positive;血液 blood;抗体 antibody;呼吸困難 difficulty breathing;細菌 bacteria;C型肝炎ウイルス hepatitis C virus;真菌 fungus;咳 cough;脊髄液 cerebrospinal fluid;染色 stain;喘息 asthma;耐性菌 resistant bacteria;唾液 sputum;定性検査 qualitative testing;定量検査 quantitative testing;尿 urine;尿路感染 urinary tract infection;肺炎 pneumonia;敗血性咽頭炎 strep throat;梅毒 syphilis;白血球 white blood cell;微生物 microorganism;ポリメラーゼ連鎖反応 polymerase chain reaction;大便 stool;メチシリン methicillin;免疫反応 immune response