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医学よもやま話

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薬と医学的エビデンス

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信じる者は救われる?

 

ブラジルでは臨床試験が行われていない薬の使用を認める法律が通りました。

ネーチャーによるとブラジルの癌研究者はその薬が本当に効くか警告しているそうです。

 

フラジルのルセフ大統領は、癌患者が臨床試験が行われていない「奇跡の薬」を使用することを可能にする法案に署名することにより、同国の医薬監督機関の活動を骨抜きにしてしまいました。

 

合成エタノールアミンリン酸と呼ばれる化合物が研究試験で癌に対して効果が無いことを同国の科学技術省が発表してからわずか数週間でこの法律が施行されました。この法律は監督機関が活動できないようにし、新薬が有効かどうか不明で未知の副作用があるかもわからない物を合法化してしまいました。

 

会計の粉飾で弾劾手続きが行われいる大統領に法案を通すよう強力な圧力がかけられ、国会議員や選挙民はこの化合物が使用できるように強く要求しました。この法律は癌の診断を受けたことを証明する診察歴のある患者は誰でもこの化合物を入手でき、医師の処方箋を必要としないものです。

 

長年に渡り、患者はサンパウロ大学の化学研究所からこの化合物を入手していました。大学がこの化合物の供給を停止しようとすると、数千人の患者が大学を訴えました。過去には、裁判官が化学研究所で製造されたエタノールアミンリン酸を患者に提供するよう命令しましたが、研究所はこの化合物を製造する権限はありませんでした。

 

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同国の科学技術省はこの化合物の研究に1000万レアル(290万米ドル)を支出する大失態を犯しました。研究の初期の段階から、この化合物は培養した細胞には無毒であり、同様に癌細胞にも無害であることが判明していました。

 

大学の研究グループはサンパウロ州が資金援助を得て、数週間以内に臨床試験を開始する予定です。この化合物はすでに数千人の患者で使用されており、毒性は示されていないので、動物実験は行なっていません。研究グループは患者が現在服用している量が安全かどうか10人の被験者で試験する予定です。その後、この化合物が癌に効くか試験を行います。

 

研究グループはは6ヶ月で結果が出ると予想していますが、ある患者はエタノールアミンリン酸の有効性に疑問を呈するデータを認めない恐れがあります。この化合物を服用していた一部の患者は癌が進行したときこの化合物が信じれなくなった時がありましたが、患者はこれは間違いで、この化合物の服用を継続したいと言っています。この患者はこれは信頼の問題だと考えているからです。

 

科学技術省の担当者は治療可能な早期の癌患者が化学療法による治療または手術を受けるべきで、コレラ患者は臨床試験が行われておらず、有効性が不明な化合物を服用しないように警告しています。

 

信じる心が政治を動かし医学的エビデンスに打ち勝った例です。

 

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Keywords

エタノールアミンリン酸 synthetic phosphoethanolamine;診察歴 medical report;臨床試験 trial