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医学よもやま話

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化学療法における耐性

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癌研究は日々進歩している

 

癌治療の3本柱は、放射線治療、腫瘍摘出手術、それに化学療法です。

 

化学療法は薬剤で癌細胞を死滅させるための治療法です。癌治療薬は最初は癌細胞を死滅させることができても、使用を続けていると、徐々に効かなくなります。癌細胞が変異して、癌治療薬に対して耐性を持つからです。

 

癌治療が失敗する一番の原因は癌細胞が癌治療薬に対して耐性を持つことによります。

 

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画像出典:DOCTORS ADMIT CANCER DRUG TRUTH: THROWING OUT EXPENSIVE AND USELESS “MEDICINE”

 

報道によるとスペイン国立癌研究センター(Spanish National Cancer Research Centre - CNIO)の研究チームは化学療法における耐性の新たな決定要素の特定に成功しました。

 

研究チームは癌治療薬としてATRキナーゼ阻害薬を使用して、癌治療薬の耐性の決定要素は癌細胞で増加するCDC25Aであることを解明しました。この結果、ATR阻害薬を使った治療が、どの患者に対して効果があるかの予測が可能となり、新規でより有効な治療への道筋を付けることができました。

 

化学療法で使用するほとんどの薬剤は癌細胞のDNAを破壊するものです。研究チームが採用した手法ではゲノムを修復するタンパク質であるATRキナーゼを標的としています。

 

 

ATRキナーゼは正常な細胞や癌細胞を問わず、すべての細胞に存在しています。癌細胞のゲノムは高度に細分化されているために、このタンパク質の機能はより活性化されており、癌細胞が不活性になったり死を免れるために頻繁に修復が行われます。

 

癌細胞におけるゲノム保護要素を無能力にすると癌細胞は死滅しますが、正常な細胞では無毒です。

 

研究チームはクリスパー(CRISPR)・ゲノム編集技術を使用して、ATR阻害薬に対する耐性をもたらす癌細胞の変異を特定しました。

 

これらの癌細胞にART阻害薬を使用して、耐性を持つ癌細胞を分離することで実質的に変異が特定でき、CDC25A遺伝子で変異を起こした癌細胞が生存できることが分かりました。

 

CDC25Aは通常、腫瘍で過剰発現するタンパク質で、治療が有効な患者では腫瘍のCDC25Aのレベルが高くなっています。

 

研究チームは癌細胞が耐性を持つことを可能にする変異の特定に加えて、耐性を持った細胞を除去する方法を見つけ出しました。

 

本研究結果および研究チームが現在行なっている研究により、製薬会社は癌治療薬の臨床実験に最適な患者グループを効果的に選択出来るようになります。

 

本治療法で最も有効と推定される腫瘍はゲノムの損傷が大きくなると、最も不安定になる腫瘍です。

 

本治療法により、どの種類の腫瘍に最も効果があるかについて、研究チームはマウスの実験において2種類の癌に有効であるかを突き止めました。研究成果は年内に発表される予定です。

 

癌研究は日々進歩しており、患者も最新の研究に注目して、自分の身は自分で守る必要があります。

 

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Keywords

化学療法耐性 chemotherapy resistance;ATRキナーゼ阻害薬 ATR kinase inhibitor;決定要素 determinant;ゲノム保護要素 genome guardian element