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カレーだけではない整形医療も!

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耳削ぎ・鼻削ぎの刑

 

古来より、世界各地で耳削ぎ、鼻削ぎが行われていました、亭主に先立たれた美しい妻が貞節を守るため行ったり、刑罰の一環として行われてきました。日本でも蒙古襲来時に多数の武士が蒙古兵に鼻を削ぎ落とされ殺されました、また文禄・慶長の役では秀吉軍が朝鮮および明兵の戦死者の耳や鼻を切り落とし、戦功の証として日本に持ち帰ってきました。持ち帰った耳や鼻は今日でも耳塚・鼻塚に収められ、犠牲者が弔われています。

 

耳や鼻を失うとどのような不都合があるでしょうか。

耳を失うと音の聞こえが非常に悪くなり、音が来る方向が分からなくなります。鼻を失うと、臭覚が低下し、加温加湿出来なくなり、埃を多く吸い込み塵肺症になったり、肺に乾燥した冷たい空気が流入するために喉や気管の炎症が起こりやすくなります。

 

耳や鼻を失うと美容だけではなく、健康上も大きい影響があるため、再建術が行われてきました。

 

鼻を失った人に対して、最初に鼻の再建術を行った整形外科医はインド人であったと言われています。

古代インドの整形外科医は、紀元前600年に罰で鼻を失った人、戦いで鼻を失った人、または病気で鼻を失った人のために鼻の再建術を行っていました。

 

 

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インドの外科医サスハルタが行った鼻再建術では、植物の葉のテンプレートを使って患者の頬から皮膚を剥ぎ取り、創面が下に来るようにして、鼻のあった場所に縫い付け、さらに小さなアシを鼻孔の代わりに取り付けていました。

 

ルネッサンスのイタリアでも同様の手術が行わており、イタリアで出版された医学書にそのことが記録されています。梅毒により鼻を失った患者に対して鼻再建術が行われました。イタリアでは外科医一族が患者の腕の皮膚を使って鼻を再建する方法を考案しましたが、他の医者に真似されることを嫌って再建法の口外を禁止したためこの再建法は秘密の厚いベールに包まれてしまいました。

 

1597年にイタリア・ボローニャの解剖学の教授は鼻再建術を科学的に記述し手引書を刊行しました。しかし、教授の死後この再建術が使われりことはありませんでした。

 

18世紀後半になってようやく、欧州の外科医がインドで鼻再建術が行われていることを知るようになりました。

 

インド陸軍の兵士が捉えられ、裏切り者に対する罰として鼻と片腕を切断されました。この兵士のために、マラータ族の外科医が兵士の額の皮膚を使って鼻を再建して見せたのでした。1814年にイギリスの外科医はこの報告を参考にして、患者に対して鼻再建術を試みました。彼の手術の成功により欧州の外科医は鼻形成術に関心を持ち始めインドで行われている再建術を取り入れるようになりました。

 

それ以降、整形医療は急速に発展し今日に至っています。美容整形への道も開かれました。

 

インドは0の発見や、仏教の発祥の地、カレーの国というだけでなく、整形医療に重要な貢献をした国なのです。

 

カレーだけではない整形医療も!

 

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Keywords

創面 wound surface;整形外科 plastic surgery;臭覚 olfactory sense;塵肺症 pneumoconiosis;鼻再建術       rhinoplasty