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医学よもやま話

医学情報をご提供します。

小橋竹蔵の病気

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結核中蔓延国の現実

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小橋竹蔵は、現在(2016年4月)NHKで朝の連続テレビ小説「トト姉ちゃん」の主人公の父親(西島秀俊)の名前です。小橋竹蔵は当時難病の結核にかかり、自宅養療の末に亡くなってしまいます。

 

結核は結核菌により引き起こされる感染症で肺を冒す病です。結核菌に感染すると、主に肺に炎症が起き、2週間以上咳、痰、だるさ、微熱などの症状が続きます。結核の原因は1882年にコッホによって結核菌が発見されまで未知の病でした。1944年にアメリカの生化学者であるセルマン・ワクスマンが抗生薬のストレプトマイシンを発見してから、結核の治療が可能になりました。

 

昭和初期、結核は日本人の死亡原因第1位の病で、年10万人以上が死亡しました。当時は結核に対して有効な薬はなく、患者を隔離して、病気の感染を防止するしか為す術はありませんでした。

 

第二次大戦後、日本では結核患者を減らすために結核予防法が改正され、保健所網の整備、BCG接種、集団検診などが行われ、また有効な抗生物質が多数使えるようになり、結核患者数は激減しました。

 

 

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結核菌は感染しても体の免疫力が強ければ発病せず、“休眠”状態に入る日和見菌です。高齢者は免疫力が低下するため過去に感染した結核が発病したり、新たに感染して発病したりすることが多くなります。

 

「結核は過去の病気」との誤解から、咳が続いても受診しなかったり、受診しても医師が結核を疑わず発見が遅れたりすることもあり、そのため、介護施設や医療施設において結核の集団感染が多発しています。

 

結核は世界において、HIVの次に死者の多い感染症であり、2013年には900万人の患者が発症し150万人が死亡しています。

 

2013年は患者の64・5%が65歳以上で、21・1%は85歳以上でした。高齢化社会に伴い、感染者も高齢化しています。

 

日本国民は自国の医療水準の高さから結核は克服できたと誤解しています。

厚生労働省の統計によると、日本は人口10万人当たりの患者数が15.4人(2014年)と高く、「中蔓延国」に分類される事実を忘れてはいけません。現在も年間約2万人が感染し2,089人が死亡しています。

 

結核の耐性菌による院内感染など、結核が身近な病であり、結核中蔓延国の現実を忘れてはなりません。

 

 

Keywords

結核 tuberculosis;結核菌 tubercle bacillus;日和見菌 opportunistic pathogen;免疫力 immune strength