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整形外科と形成外科それに美容整形外科

 

日本整形外科学会の解説にによると整形外科と形成外科を次のように区分しています。

 

整形外科は骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系の機能的改善を目的として治療する外科で、背骨と骨盤それに四肢を主な治療対象とします。

 

整形外科は背骨と脊髄を扱う「脊椎外科」、上肢を扱う「手の外科」と「肩関節外科」、下肢の「股関節外科」、「膝関節外科」と「足の外科」、スポーツによるけがや障害を扱う「スポーツ医学」、「リウマチ外科」、腫瘍を扱う「骨・軟部腫瘍外科」、骨粗鬆症などを扱う「骨代謝外来」と多数の専門分野があります。

 

形成外科は、先天性の異常や、病気や怪我などによる患者の外観の状態を改善、治療する外科で、頭や顔面を含めた体全体を治療対象としています。

熱傷の治療、怪我や手術後の皮膚の瘢痕・ケロイドや生まれつきの母斑の治療、皮膚や皮下の腫瘍の切除、眼球を収容している骨の窪みやほほ骨などの顔面骨折の治療などが形成外科の診療領域です。

 

頭蓋骨や顔・あごの骨の先天性の変形に対する変形矯正手術、口唇裂、口蓋裂、小耳症などの顔面の先天性の異常に対する形成手術、癌や外傷などによる顔面の部分欠損に対する再建手術、漏斗胸、鳩胸などの生まれつきの胸の変形の矯正手術や乳癌で切除された乳房の再建、生まれつきの性器の異常に対する形成手術なども形成外科の診療領域です。

 

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整形外科や形成外科が疾病に対する医療行為ですが、美容整形外科は美容のための医療行為です。

 

美容整形外科は整形外科や形成外科に属さず、健康保険は適用されず、全て自由診療です。美容外科手術を受けた患者が術後の後遺症の治療に形成外科を受診するケースが多数あります。美容整形外科においても、診療の大前提としてリスクや後遺症について丁寧な説明がなされるべきですが、安易に手術が行われ、被害者も少なくないのが現状です。

 

美容整形の広告はメディアのいたるところで見られます。「こんなに美しくなった」、「自信が持てるようになった」という広告が多く、若い女性が誘導されています。

 

2007年の美容整形外科の市場規模は2200億円と言われています。美容整形手術の失敗件数は非常に多いのですが、厚生労働省も業界も公表していません。統計を公表すると手術の失敗、不満、後遺症などいろいろな問題が露見するからでしょうか。厚生労働省は美容整形医や団体を指導することに関心がなく、広告を野放しにし、被害者を救済する気もないようです。自由診療行為なので、「国が関与することではない。サービスを受ける個人の問題である」というスタンスのようです。美容外科医が所属している日本美容医療協会が各種ガイドラインを公表していますが、徹底されておらず、あまり実効性は見られません。

 

健康な体にメスをいれるのは絶対間違っていますが、どうしても美容整形を受けたい人は、宣伝に惑わされずに、信用できる美容整形医を探すことがなによる重要です。信用できる医師はどこにもいるわけではありません。一部美容整形外科医はわざと中途半端な手術をして、追加の費用を要求するケースも有ります。

 

美容整形手術のリスク、後遺症、追加の手術の必要性も十分確認しておく必要があります。美しくなるために受けた美容整形で前より見苦しくなっても、自己責任です。美容整形手術で失敗しても補償はしてもらえません。問題があっても国民生活センターに相談することしかできません。補償を求めるには、裁判を起こし、勝訴しなければなりませんが、個人で美容クリニックを訴えても勝ち目はありません。そのようなリスクを考えたなら、安易に美容整形手術は受けないことです。

 

火傷をして皮膚の移植を受けた人や癌で乳房を失って再建手術を受けた人は日の当たる生活が取り戻せます。美容整形手術を受けて顔がゆがんでしまった人は、日陰の生活をすることになります。医療の光と影です。

 

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Keywords

整形外科 orthopedics;形成外科 plastic surgery;美容外科 cosmetic surgery