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テニスプレイヤー錦織圭の粘り強さ

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FlowとZone

 

プロテニス・プレイヤーの錦織圭選手が粘り強く試合を戦っています。絶体絶命の場面でも諦めずに試合を勝ち進んでいます。「錦織選手は3月31日テニスのマイアミオープンで土壇場から大逆転の勝利を収めた。世界ランキング16位のガエル・モンフィスに5度のマッチポイントを握られながらも、驚異的な粘りで4−6、6−3、7−6で2年ぶりのベスト4進出を決めた。」と報道にありました。

 

  

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一方、スケートの羽生結弦選手は「世界最高点を連発した昨年のNHK杯やグランプリファイナルでは、緊張する自分に向き合い、最高の精神状態を作ってきた。だがこの日(フィギュアスケート世界選手権)は「ずっと緊張していた」。全選手が今季の集大成と位置づける大一番。大差でSP首位に立ち、高得点で勝つことを期待される。重圧の中で、心を制御できなかった。」と報道にありました。

 

2人の一流選手に何が起こったのでしょうか。

錦織選手はフロー(flow)状態に入ることが出来、羽生選手は出来なかったと言うことです。

 

フローは心理学者のミハイ・チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)教授(アメリカカリフォルニア州クレアモント大学院)が彼の著書「フロー:最高の経験の心理学(Flow: The Psychology of Optimal Experience)」で定義した概念です。フローはゾーン(zone)とも呼ばれています。

 

 

映画マトリックスの中で主人公のネオは巧みに弾を避けていました。ネオは弾がスローモーションで動いているように見え、余裕を持って弾を避けることが出来ました。

 

チクセントミハイ教授はフロー状態を人間が完全に活動に溶け込んでいる状態だと説明しています。フロー状態になると、スポーツ選手には邪念が無くなり、ストレスから開放されます。選手は自分の強さや機敏さを感じ、意識することなく自己の最大の能力を発揮することが出来ます。

 

チクセントミハイ教授によればフロー状態になると、時間の観念が無くなり、外部の心配事や、刺激に影響されることもなく、自分は何か偉大なものと一体になっているように感じ、試練を感じても自分の能力や集中力に疑いを持たずに競技に集中できます。

 

最高の結果を出さなければならないという強迫観念も無く、対戦相手に執着することも無く、自分は偉大なものに守られているという確信を持ちます。

フロー状態になればすべてのプレッシャーを撥ね退けて、これまでの練習により獲得したすべての能力を発揮させることが出来ます。スポーツ選手は競技をストレスではなく、自分を興奮させてくれる対象と捉えることが出来ます。

 

一流のスポーツ選手でも自分の意思でフロー状態には入れませんが試練を経てフロー状態に入っていると実感することが出来るようになります。

 

このフロー状態は脳内神経伝達物質ドーパミンが関係しています。

厳しい試練を経て成果が出ると、心が満たされます。この時脳内はドーパミンで満たされます。厳しい試練を多く経験することにより、より高いレベルの満足感が得られます。

 

若いスポーツ選手がストレスに弱いのはレベルの高い満足感を経験していないからです。フロー状態を経験するためには多くの試練を経なければなりません。

 

チクセントミハイ教授はその著書の中でスポーツの達人でなくとも、フロー状態を経験できると述べています。試練少しづつ乗り越えて、フロー状態を経験しましょう。

 

Keywords

フロー状態 flow state;ゾーン状態 zone state;脳内神経伝達物質 neurotransmitter;ドーパミン dopamine