医学よもやま話

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子供には恐ろしく、大人にはありがたい存在

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昔は体調が悪くて医師に診てもらうと、医師はよく注射を使いました。それで症状が改善することが多く、大人は注射をありがたく思うようになり、医師に注射を希望する患者も多くいました。それに対して、子供は注射器の針を見て恐ろしさを感じて泣きわめくのが常で、注射を打つのが大変でした。

 

医師が患者に注射を使う場面として「体の痛み緩和するためにで鎮痛剤の注射を使う」、「インフルエンザ・ワクチンの注射を使う」、「歯科医院で歯の治療時に麻酔の注射を使う」、「CT検査を受けるとき造影剤の注射を使う」、「手術を受けるとき、麻酔薬の注射を使う」、「術後に補液、抗生剤、栄養剤、鎮痛剤の点滴を使う」、「糖尿病患者がインスリン注射を使う」があります。

 

病気を検査をする時は、ほとんどの場合、血液が採取されます。

 

このように、医療現場で、治療や検査で日常使われる注射器は1853年にフランスのチャールズ・ガブリエル・プラパーズ医師とスコットランドのアレキサンダー・ウッド医師により発明されました。プラパーズ医師は注射器を動脈瘤の治療のための薬剤注入に使用し、ウッド医師は注射器を痛み止めの治療のためにモルヒネの注入に使いました。それ以降、注射器は医療現場で検査や治療に必須の医療器具となっています。

 

病気の検査を行うときは注射器を使って血液や体液を採取します。

採血は生活習慣病の早期発見、肝機能や腎機能の状態のチェック、それに腫瘍マーカーにより癌の診断も可能です。さらに脊髄液を採取により脳や脊髄の病気の診断が行えます。

 

治療を行うときは、注射器を使って薬液を体内に注入します。体内注射は大きく皮内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉注射に分類されます。

皮内注射はツベルクリン反応や予防接種に用いられます。皮下注射は薬剤を徐々に吸収させるときに使用されます。静脈注射は救急時の応急処置や点滴で使用されます。筋肉注射は強い薬剤の注入に用いられます。

 

注射器を使って血管に薬剤を注入または採血を行ったとき、青あざができる場合があります。これは止血が不十分なために、内出血起こしたからです。この青あざは数日で消えます。青あざが出来ないようにするには、看護師の指示に従って注射針の痕を強く3分位押さえておく必要があります。

 

注射による健康被害として、感染症と大腿四頭筋拘縮症があります。

注射器を使い回すことにより感染症が広がり、これを防止するために、使い捨て型注射器が開発されました。現在、日本では注射器の使い回しはほとんどなくなっています。幼児に筋肉注射を打つと大腿四頭筋拘縮症という筋肉の硬化が起こります。このため、現在では、幼児に対しては筋肉注射は行われていません。

 

これまで、注射器を使うときは針を刺す部位をアルコールで消毒していましたが、最近はアルコール消毒をしない看護師もいます。注射の際、皮下に混入する細菌の数は極めて少なく、作り置きのアルコール綿のアルコール分が蒸発してしまい菌類が繁殖している可能性があるからです。

 

注射時の痛みは、針を刺したときの痛み、血管に刺激が伝わったときの痛み、注入薬液の“違和感”があります。薬液が急速に注入されると、注入圧により痛みが生じ、薬液と体温との温度差による痛みも発生する場合があります。

 

1969年に糖尿病患者用に安全なインスリン注射器が開発されました。糖尿病患者は自身でインスリン注射をする必要が有るため、不便を解消するため、いろいろな改良がなされて来ました。最近では、持ち運びに便利な万年筆型の注射器が主流になっております。

 

注射針も近年急速に進歩しています。ライトニックスは新しい血糖値測定に使用される採血針「ピンニックスライト」を開発し、岡野工業はテルモと共に「ナノパス33」インスリン注射用注射針を開発しました。これらの製品により日常的にインスリン注射が必要な糖尿病の患者は痛みとストレスから開放されています。

 

注射は子供には恐ろしい存在でも、大人にはありがたい存在です。

 

 

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注射 injection;注射器 syringe;動脈瘤 aneurysm;モルヒネ morphine;採血 blood drawing;肝機能 liver function;腎機能 renal function;腫瘍マーカー tumor marker;脊髄液 spinal fluid;皮内注射 endodermic injection;皮下注射 hypodermic injection;静脈注射 intravenous injection;筋肉注射 intramuscular injection;ツベルクリン反応 tuberculin reaction;予防接種 vaccination;応急処置 emergency care;点滴 drip;感染症 infection;大腿四頭筋拘縮症 quadriceps contracture