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未知なる力

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最高レベルの能力の獲得

 

人間には視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感がありそれぞれを処理する脳の領域が決まっています。

 

ポーランドのヤギェウォ大学の研究グループは人間の脳の各領域はより柔軟に活動する事実を解明しました。

研究チームは目が見える被験者に点字を教え、人間が点字のような複雑な触知能力を身につけると視覚皮質が活性化することを突き止めました。

 

視覚皮質は視覚作業を処理し、触知皮質の中の体性感覚皮質は触知に関する作業を処理します。

人間は複雑な作業を行い、それを学ぶに十分な時間が与えられば脳に新しいコネクションができることがわかりました。

 

楽器や車の運転のような技能を学ぶことにより、人間は脳の異なる領域を使うことができるようになります。

頭脳には通常の作業の分担を越えて脳の力を強化するための新たなコネクションを作り出すことができる柔軟性があります。

 

 

脳が大きな損傷を受けたり、失明するなどの大きな感覚を失うと、脳が再構築されることがこれまで知られていました。

視覚を失った盲目の人の視覚皮質は、言語、記憶、や点字の読み取りのような他の作業に順応できるようになります。

このような順応力は成人の健常者の頭脳でも起こると考えられています。

成人の脳を刺激することにより、脳を大規模に再構成させることができます。

 

目隠しして、点字の読み取り訓練することにより、視覚皮質の領域である視覚性単語形状領域が活性化し触知皮質とのコネクションができました。

経頭蓋的に脳の視覚性単語形状領域を磁気で選択的に刺激を与えると、点字が読めなくなることから、この領域で点字の読み取り作業が行われていることがわかりました。点字を書くために想像力を働かせるので、視覚皮質が活性化されているという仮説は棄却されました。

 

我々は、これらの知見から機能構成に対する見方を考えなおす必要があります。

我々がまだ知らない人間の頭脳の特別な柔軟性は我々を人間たらしめている特徴の1つに過ぎないかもしれません。この柔軟性により高度な教養を身につけることができます。

 

 

オリンピックの体操の選手、プロの楽器演奏者、プロの棋士、数学者など普通の人では真似のできない事を彼らは簡単に行っています。

これらは独自にあみ出し、または先人から教わった訓練法により、長い時間をかけて、頭脳の柔軟性を使って最高のレベルまで能力を高めたことによります。

 

人間は、正しく訓練をすれば特殊能力が獲得できます。

 

 

参考文献

 

Complex learning dismantles barriers in the brain

 

 

視覚皮質         visual cortex

体性感覚皮質 somatosensory cortex

触知皮質            tactile cortex

経頭蓋の            transcranial

視覚性単語形状領域      Visual Word Form Area

霊長類                primate