読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

医学よもやま話

医学情報をご提供します。

悲しいこと忘れるためには、何かに熱中すれば良い

脳科学

advertisement

頭を悲しいことで一杯にするわけにはいかない

 

これまで、人間の脳は10%位しか使われていないから学習すれば何でも記憶できると言われてきました。現在ではこの考えは誤りだとされています。学んだことを全て覚えられるわけではありません。頭で覚えられることには限りがあるのです。

 

人が何かを記憶しようとすると、頭脳は他の記憶を消して新たな記憶のためにスペースを作ります。例えば、新しいDVDデッキを買って操作を覚えると、しばらくは前に使っていたデッキの操作も覚えていますが、数年のうちにほとんど忘れてしまいます。スイッチの位置も忘れます。人間の脳は無意識のうちに不要な情報を消しているのです。

 

欧州分子生物学研究所の研究チームは遺伝子改変マウスを使った実験をおこない、この事実を突き止めました。研究成果はネーチャー・コミュニケーション誌に掲載されました。

 

研究から、頭の一つの経路は積極的に記憶を消去する機能にリンクしていることがわかりました。

 

 

情報は3つの異なる経路を介して脳にある海馬という器官に入ります。

記憶が定着すると、脳の主経路のニューロン間の接続が強くなります。

 

主経路への情報の流れを停止する前に関係付けが学習されていると、この記憶を取り出すことができます。この経路は記憶の形成に関係しますが、記憶の取り出しには重要ではないことがわかっています。

この経路が海馬への第2の経路であると推測されています。

 

主経路をブロックすると主経路の接続が弱まり記憶が消去されました。この経路を単純にブロックしても接続の強さは変わりませんでした。この結果、3つの経路の一つが接続を弱めていることがわかりました。

学習時にのみ記憶が消去されました。ある状況で海馬への主経路をブロックしても接続の強さに変化は起こりませんでした。

このことから、頭が記憶できるスペースには限りがあり、学習により一部の接続が弱められることの説明がつきました。

 

 

研究が進めば、脳の記憶を消去する経路を活性化する薬が作られかもしれません。悪用されないことを望みます。

 

悲しいことが起こっても、それにとらわれていないで。他のことを一生懸命やっていれば、心はだんらん癒やされてきます。

 

 

参考文献

 

Forgetting to learn: Neural mechanisms in mouse brains indicate that we actively forget as we learn

 

 

心的外傷            trauma

関係付け            association

遺伝子改変マウス          genetically engineered mouse

記憶                    memory

海馬                    hippocampus

ニューロン        neuron