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三つ目がとおる

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超能力時代

 

手塚治虫の「3つ目が通る」という漫画をご存じでしょうか。1970年代に「週刊少年マガジン」に連載され、1990年頃テレビ東京系列で放送された漫画です。主人公の写楽保介は目を3つ持っておりました。2つの目は普通の人間の目したが、通常第3の目はバンソコウで塞がれていました。第3の目が塞がれていると、写楽保介は普通の子供ですが、第3の目が現れると超能力を発揮し知能の高い大人の精神状態になるという設定でした。

 

近年、脳科学の現場では、視力を失った人の視力を回復させるための研究が行われています。

 

ネズミの脳にインプラントを埋め込み、ネズミは通常見ることができない光を検知し反応するように第6の感覚を与えています。

 

脳に埋め込むインプラントとして紫外線、超音波、X線の光センサーが考えられています。

 

4個の電極群がネズミの脳のヒゲに対応する部位に埋め込まれ、各電極群は赤外線を電気信号に変換するセンサーに接続されています。

 

 

インプラントを埋め込んだネズミによる赤外線感知の試験が行われた結果、センサ1個を埋め込んだネズミの脳は1ヶ月で信号を受け取れるようになり、センサー4個を埋め込んだネズミは4日以内で赤外線を検出することができ、脳が受けたメッセージに反応するようになりました。

 

この研究の責任者でありノースカリフォルニアのジューク大学メディカルセンターの神経科学者であるミギュエル・ニコレリス(Miguel Nicolelis)博士はこの研究により哺乳類の脳の能力が実証されたと言っています。

 

実験結果から成人の大脳新皮質のレパートリーに新たな情報を容易に、かつ完全に組み込むことができ、この情報を順応行動に使用できることがわかりました。

 

ネズミは数日のうちにインプラントを介して赤外線で物を探しだすことができるようになりました。

 

赤外線インプラントを直接視覚野に埋め込むことによりネズミは早く学習することできました。

 

 

視覚野はすでに光の検知に使われているので、ネズミは7時間で新たな入力に順応することができました。

 

可視光線と赤外線の複数種の光を同時に使った使った実験や、紫外線や超音波のような他の光源を使った実験も行われるでしょう。これにより、融像が得られ、統合視力の実現されるでしょう。

 

警察が使用している暗視装置では熱から発生する赤外線を利用して犯罪者を追跡します。

 

可視光線以外の波長の光を見る能力の獲得は多くの分野で注目されそうですが、最初は医療分野で応用されるでしょう。

 

光を電気信号に変えるインプラントを使用することにより、視力を失った人が視力を回復すことができます。

 

哺乳類の大人の脳でも赤外線源のようにこれまで経験したことのない感覚に容易に順応できるでしょう。

 

写楽保介は第3の目で非可視光線が見えたため、彼の脳は人間の知能以上の働きができたものと思われます。そのような、超能力が実現可能になりつつあります。

 

 

参考文献

Rats learn to sense infrared in hours thanks to brain implants

 

関連ページ  失うことは悪いことではない!

 

 

 

大脳新皮質        neocortex

インプラント    implant

融像                    fusion

統合視力            total vision