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医学よもやま話

医学情報をご提供します。

ヒポクラテスが泣いている

医療倫理

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医術は算術なり

 

医学は人を病気から救うためにあり、医師のより良い生活を保証するためのものではありません。すべての経済活動は社会に貢献して、その対価を受ける事を基本としています。経営学を医学に適応するのは、より多くの患者をより適切に救うために使うべきであって、利益を最大化するためのものでは無いはずです。倫理観の高い医師は、いかに患者を病気から救うかに悩み、いかに利益を上げるかに悩んでいるのではありません。

 

商品は使ってみれば良し悪しはわかりますが、薬や治療は受けて見なければわかりません。しかし、すでに時遅しです。

 

一部の医師は、患者のことより、利益を第一に考えているようです。

 

実例:  

眼科医: 通院するたびに、視力検査をする。検査もせずに安易に抗生剤を処方する。使える抗生剤がなくなることが心配。

歯科医: 正常の歯を削る、親知らずを抜く、意味もなく高額の自由診療(ホワイトニング、矯正、インプラント)を勧める。営業力には脱帽。

 

一部の皮膚科医や内科医は完璧にルーチンワークに徹しています。大量生産(診察)方式を採用しているようです。医師の診察があまりに早いため事務が追いつかない有様です。

 

皮膚科医: 初診を除き、患部を診ることなく、普段の薬を処方して終わり。

内科医: 異常がないかを尋ね、血圧を測り、次の来院日を決めて終了。

 

これらの利益至上主義は医師個人の方針ではなくクリニックの経営方針から来ている場合もあります。

  

少し位い遠方でも、倫理感が高く優秀な医師に診てもらったほうだ賢明です。

 

街には、歯科クリニックや内科クリニックがあふれています。

大きなビルには必ず歯科クリニックや内科クリニックがあります。

郊外では人口が増えないにもかかわらず、クリニックが増え続けています。患者を奪い合っているわけです。

 

医師になるためには大学で6年間の教育を受け、その後2年間のインターンが課せられます。その後専門医としての訓練を数年間受けなければならいません。

学費だけで公立大学で360万円、私立だと2000万円から5000万円位必要です。クリニックを開設すると更に数千万円に費用が必要となります。

 

医師も、奨学金返済やクリニック開設で多額の借金を抱えており、少しでも高給なクリニックに就職しなければならず、経営者は少しでも利益を出さなければならないことは理解できます。そのため、より良い医療サービスを提供して、収益を上げるのが常道です。

不正診療や不正請求をすると刑事訴追され免許剥奪も考えられ、これまでの莫大な投資が回収できなくなります。

 

そこで、患者からの診療報酬(客単価)を上げるために不要な検査、処置を行うことになります。厚生労働省はガイドラインを定めていますが巧妙にすり抜けています。

  

患者の健康より利益を優先する考えは誤っています。

 

それは医師側の論理であり、患者側は病気の治療のために医師の診察を受けるのです。不要な薬の処方は直接健康には害がなくても、長期的には害があるものもあります。さらに、不要な治療は患部には有効であっても、他の体の部所には有害に作用するかもしれません。過剰な検査、診療により健康を害する可能性もあります。

 

正常なのに、異常と診断され(擬陽性)と診断され治療(投薬、手術)を受けると、場合により健康を害し寿命を縮めることとなります。

 

無駄なX線は被曝量が増えます。福島の原発事故の放射線のように、医療の放射線も同様に危険です。

CTで使う造影剤は腎臓を傷めるリスクがあります。

バリウム注腸検査は腸閉塞のリスクがあります。

内視鏡検査では、穿孔や出血のリスクが有ります。

高血圧治療薬は認知症リスクが増えます。

コレステロール薬で時に筋肉が溶けていく横紋筋融解症のリスクがあります。

このように薬の服用や検査は有害な場合があります。

薬の処方や検査はそのメリットが副作用のデメリットに勝る時だけ受けるべきです。そのことは明確に理解しておく必要があります。不明なことは担当医に聞くべきです。その時の医師の対応で、医師の倫理感が高く優秀であるか否かがわかります。

 

生活習慣病治療薬は一度服用したら、なかなか止められません。止めると症状が悪化する場合があるからです。実は日頃服用している薬が健康を害している場合もあります。折を見て担当医に処方薬が正常に機能しているか相談されることをお勧めします。そのための検査は必要です。

 

自分の体は自分で守らければなりません。

 

古代ギリシャの医師ヒポクラテスは2400年前に医師の倫理をまとめ、誓いを立てています。

欧米では医学生は医師になる前ヒポクラテスの誓いを行っていいます。

 

日本の医学生にはヒポクラテスの誓いが課せられていないため、この誓の趣旨を理解せずに、診療を行っていいる倫理観の低い医師もいます。

 

 

ヒポクラテスが現代の一部利益優先の倫理観の低い医師を見たら失望することしょう。2400年前の医師の倫理感より現代の医師の倫理感が劣っているのですから。

 

日本には倫理感が高く優れた医師は他国より多いと思います。通院の便利さだけを考えずに、倫理観が高く、優れた医師を探し出して診てもらいましょう。医原性の疾病にかからないために。一度きりの命ですから。

 

 

 ヒポクラテスの誓い(訳:小川鼎三)(注1)

 

 医神アポロン、アスクレピオス、ヒギエイア、パナケイアおよびすべての男神と女神に誓う。私の能力と判断にしたがってこの誓いと約束を守ることを。

この術を私に教えた人をわが親のごとく敬い、わが財を分かって、その必要あるとき助ける。

その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶことを欲すれば報酬なしにこの術を教える。そして書きものや講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわが息子、わが師の息子、また医の規則にもとずき約束と誓いで結ばれている弟子どもに分かち与え、それ以外の誰にも与えない。

私は能力と判断の限り患者に利益すると思う養生法をとり、悪くて有害と知る方法を決してとらない。

頼まれても死に導くような薬を与えない。それを覚らせることもしない。同様に婦人を流産に導く道具を与えない。

純粋と神聖をもってわが生涯を貫き、わが術を行う。

結石を切りだすことは神かけてしない。それを業とするものに委せる。

いかなる患家を訪れる時もそれはただ病者を益するためであり、あらゆる勝手な戯れや堕落の行いを避ける。女と男、自由人と奴隷の違いを考慮しない。

医に関すると否とにかかわらず他人の生活について秘密を守る。

この誓いを守りつづける限り、私は、いつも医術の実施を楽しみつつ生きてすべての人から尊敬されるであろう。もしこの誓いを破るならばその反対の運命をたまわりたい。

 

 

ヒポクラテスの誓い現代英文訳

 

I swear to fulfill, to the best of my ability and judgment, this covenant:...

I will respect the hard-won scientific gains of those physicians in whose steps I walk, and gladly share such knowledge as is mine with those who are to follow.

I will apply, for the benefit of the sick, all measures which are required, avoiding those twin traps of overtreatment and therapeutic nihilism.

I will remember that there is art to medicine as well as science, and that warmth, sympathy, and understanding may outweigh the surgeon's knife or the chemist's drug.

I will not be ashamed to say "I know not," nor will I fail to call in my colleagues when the skills of another are needed for a patient's recovery.

I will respect the privacy of my patients, for their problems are not disclosed to me that the world may know. Most especially must I tread with care in matters of life and death. Above all, I must not play at God.

I will remember that I do not treat a fever chart, a cancerous growth, but a sick human being, whose illness may affect the person's family and economic stability. My responsibility includes these related problems, if I am to care adequately for the sick.

I will prevent disease whenever I can, for prevention is preferable to cure.

I will remember that I remain a member of society, with special obligations to all my fellow human beings, those sound of mind and body as well as the infirm.

If I do not violate this oath, may I enjoy life and art, respected while I live and remembered with affection thereafter. May I always act so as to preserve the finest traditions of my calling and may I long experience the joy of healing those who seek my help.

 

Written in 1964 by Louis Lasagna, Academic Dean of the School of Medicine at Tufts University,

 

注1: 日本医師会ホームページより

http://www.med.or.jp/doctor/member/kiso/k3.html

 

 

ヒポクラテスの誓い      Hippocratic oath

眼科医                ophthalmologist

視力検査            optometry

抗生剤                antibiotics

歯科医                dentist

親知らず            wisdom tooth

自由診療            non-insurance practice

ホワイトニング              whitening

歯科矯正            dental orthopedics

インプラント    implant

皮膚科医            dermatologist

内科医                internist

不正診療            malpractice

不正請求            false billing

免許剥奪            deprivation of medical license

厚生労働省        Ministry of Health, Labor and Welfare

擬陽性                pseudopositive

被曝量                exposed dose

造影剤                contrast medium

腎臓                    kidney

バリウム注腸検査          barium enema examination

腸閉塞  ileus

内視鏡検査        endoscopy

穿孔                    perforation

出血                    bleeding

高血圧治療薬    antihypertensive

認知症                dementia

コレステロール薬          cholesterol drug

横紋筋融解症    rhabdomyolysis

応急処置            emergency treatment

総合病院            general hospital

開腹手術            laparotomy

生活習慣病治療薬          lifestyle-related disease

医原性の疾病                  iatrogenic disease