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手先の不器用な外科医も名外科医になれる?

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ダビンチロボット手術

 

これまで、外科医は手先の器用さが絶対条件でした。歳を取れば手の震えで引退を余儀なくされることもありました。それ故、外科医の数も不足気味でした。それを解決しそうな技術がロボット手術システムであるダビンチです。

 

ダビンチは1990年代に米国で開発され、インチュイティブサージカル社より臨床用機器として販売されております。

 

日本ロボット学会の調査によるとダビンチの導入数はアメリカ2399台、ヨーロッパ608台、アジア423台そのうち日本は211台となっております(2015年12月末現在)。

 

国内でのダビンチを使った手術件数は泌尿器12,404件、消化器544件、婦人科170件、胸部外科110件で合計13,228件となっております。

これに対して米国では652,000件となっており、日本の約50倍です。アメリカの外科医は日本の外科医と比べて手先が器用でないためアメリカで急速に普及したものと思われます。

 

ダビンチを使うことにより術者は高度な腹腔鏡手術が可能となります。

ロボット手術においては厚生労働省は厳格なガイドラインを定め、内視鏡手術の実績のある医療機関で、認定医が手術を行うこと、緊急時には適切な処置が行えることとなどの条件をつけ、厳格な遵守を要求しております。

 

 

現在、前立腺摘出、子宮摘出、冠動脈バイパス、僧帽弁修復、動脈瘤切除、甲状腺切除、胃切除、肺部分切除、鼠径ヘルニア修復術などに適用されています。

 

今後は腹腔鏡手術はほとんどダビンチが使われるものと思われます。

 

ロボット手術では術者は2本の手で4本のアーム(3本の鉗子と1本のカメラ)を操作できます。これらのアームは人間の手より自由度が大きいので、一人の術者がモニターを見ながら吸引、止血、切除、縫合など複数の処置を行うことができます。術者は顕微鏡を見ることなく、モニター上で拡大映像を見ながら手術ができるため、微細な血管や神経を見逃すことが無く、容易に手術ができます。術者の大きな手の動きも小さな動きに縮小され、微細な手術が正確に行えます。したがって、手術時間が短縮され、出血も少なく、傷口も小さくなります。

開腹手術では15センチであった傷口が8ミリに縮小されます。術者は僅かな切り目から自分の手を患者の腹部に入れるようなものです。

 

開腹手術を経験した外科医は自己の習得した技術をロボットシステムに容易に移行できます。20件の手術経験でほぼ完璧な手術が行えると言われています。したがって、外科医不足にも容易に対応できます。

 

 

ロボット手術を受けた患者は1週間位で退院可能です。アメリカでは前立腺切除患者を2日で退院させているそうです。

 

現在のところ、腹腔鏡手術を支援する段階ですが、技術が進歩すればさらなる高度な手術、例えば脳内の手術などが可能となることでしょう。

 

参考資料: 日本ロボット外科学会 http://j-robo.or.jp

 

 

ダビンチ              da Vinci

手術ロボット       surgical robot

前立腺切除術       prostatectomy

僧帽弁修復術       mitral valve repair

子宮摘出術           hysterectomy

冠動脈バイパス術              coronary artery bypass

動脈瘤切除術       aneurysmectomy

甲状腺切除術       thyroidectomy

胃切除術              gastrectomy

肺部分切除術       partial pneumonectomy

鼠径ヘルニア修復術           inguinal hernia repair