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医学よもやま話

医学情報をご提供します。

足の付根が飛び出し、違和感を感じるとき

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足の付根(鼠径部)が飛び出し違和感を感じるときは、鼠径ヘルニアが疑われます。痛みの程度により直ちに外科医の診察を受ける必要があります。

鼠径ヘルニアは鼠径部へ広がり陰嚢に達することもあります。

鼠径ヘルニアを発症すると、腹膜や腸の一部が腹壁から飛び出します。鼠径ヘルニアは先天性または加齢により発生します。

 

鼠径ヘルニアは通常痛みはなく鼠径部または陰嚢が膨らむ疾病です。

腸が嵌頓すると腸の血行が止まり、数時間のうちに腸が壊疽します。

 

医師による触診または超音波またはCTで鼠径ヘルニアの診断を行います。

 

鼠径ヘルニアは根治手術が必要です。男性の場合痛みや嵌頓などの症状がなければ緊急の手術は不要です。嵌頓を生じた時は嵌頓部から腸を取り出す必要が有るため、緊急手術が必要となります。

 

鼠径ヘルニアの罹患率は高めですが、死亡率は高くはありません。嵌頓が生じた場合で手術が遅れると、壊疽により死に至ることがあります。

 

男性に鼠径ヘルニアが多い理由は男性生殖腺が胎児の発育過程で腹壁を介して男性生殖腺が移動することにあります。腸壁が弱くなり、鼠径ヘルニアが発生する可能性が高くなります。

 

 

腹腔鏡手術と開腹手術のどちらが良いでしょうか?

どのような場合に経過観察は許されるでしょうか?

移植メッシュ(人工補強材)の役割とは?

 

アメリカユダ大学のチームの研究によれば開腹手術のほうが腹腔鏡手術より術中合併症、早期術後合併症、2年以内の再発の観点から優れていると報告されています。

 

再発の可能性は医療機関により大きく異なります。手術実績のある医療機関での手術を受けたほうが安全です。

 

従来、ヘルニア縫合術で弱く破れた腹壁を縫い合わせを行ったため、ヘルニアの再発も起こりましたが、近年、移植メッシュが多く使用されています。移植メッシュを使用することにより疼痛が減り、再発も減っています。

 

開腹手術のほうが腹腔鏡手術より合併症の発生に関しては優れていますが、ヘルニアが再発した場合や両側ヘルニアを処置するときは腹腔鏡手術が優れているようです。

 

しかし、腹腔鏡手術は入院日数も短くまた、術後の痛みが少ないため、多くの患者は腹腔鏡手術を望む傾向にあります。

 

症状があるのに、手術を遅らせると、嵌頓が発生するリスクが高まります。

 

 

19世紀ではヘルニアの手術の前にヘルニアバンドを使用していました。

 

 

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移植メッシュは長年の使用で素材が劣化するため、再手術が必要となることがあります。18歳以下の患者には使用されないようです。

 

鼠径ヘルニア inguinal hernia

陰嚢 scrotum

罹患率 morbidity

死亡率 mortality

嵌頓 strangulation

男性生殖腺 male reproductive gonads

胎児の発育 embryologic development

腹壁 abdominal wall

腹腔鏡手術 laparoscopic surgery

開腹手術 open surgery

注意深い経過観察 watchful waiting

移植メッシュ implantable mesh

術中合併症 intraoperative complication

早期術後合併症 early postoperative complication

両側ヘルニア bilateral hernia 

ヘルニア縫合術 herniorrhaphy

ヘルニアバンド truss

腹膜 peritoneum

壊疽した gangrenous

超音波検査法 ultrasonography

コンピュータ断層撮影 computed tomography