医学よもやま話

医学情報をご提供します。

脳神経疾患

めまいと頭痛の違い

めまいは内耳の障害。頭痛は頭の障害ではなく病気の症状。 **** Credit: 回転木馬、“Children's Museum Carousel in Indianapolis” めまい めまいは失神及び目が回る感覚又は立っている状態又は座っている状態で正常な平衡感覚が維持できない病態であり…

言葉の人体への影響 ― 言葉による暴力

言葉で人は死に至ることがある **** Photo: スマートフォンで行われるいじめ いじめの実態 2014年、宮城県でいじめを苦に自殺した中学1年生の父親がいじめ防止のための対策を文部科学省に求め、体験をもとに、暴力行為よりも言葉によるいじめ対策が必要…

昏睡と昏迷の違い

刺激に対する反応の有無 **** 昏睡 昏睡は目を閉じて、無反応の状態で、意識も覚醒もない病態である。患者は刺激を与えても意識を取り戻したり覚醒することはない。 昏睡には刺激に対して反射するレベルがある。昏睡は意識障害の中で最も重いものである…

鎮静剤と鎮痛剤の違い

神経の興奮を抑える薬と痛みを緩和する薬 **** Photo: 薬剤の常用は耐性と依存症を引き起こす。 鎮静剤 鎮静剤は過敏性、興奮性、及び神経質性を和らげる薬剤である。中枢神経の働きを抑えて、怠さを生じさせ精神活動を低下させる。 鎮静剤にはすべての…

富士登山で高山病にならないために

標高の高い山を短時間で登ると高山病にかかるリスクが高くなる。 **** Credit: 富士登山、夏の富士登山とご来光 2016年夏期の富士山の登山者数は24.8万人であった。そのうちの多くが弾丸登山を行った。 弾丸登山は、山小屋で宿泊するなど十分な休息をと…

食道運動障害とは

食道括約筋が弛緩できなくなり、嚥下障害や誤嚥性肺炎が起こる。 **** Photo: 舌圧子(口腔内や咽頭を見るとき、舌を押し下げるために用いるへら状の器具) 食道運動障害は口腔咽頭機能障害と噴門痙攣にわけられる。 口腔咽頭機能障害 食道の輪状咽頭部…

レム睡眠行動障害

患者は夢を演じることにより、暴力をふるったり傷害を起こしたりする。 **** photo: プロザック(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) レム睡眠行動障害は患者がレム睡眠時に夢の中の出来事を演じる病態である。 疫学と病理学 レム睡眠行動障害は男性に…

覚醒障害

眠っている間に他人を傷つける患者もいる。 **** 病理 覚醒障害はノンレム睡眠で、睡眠時間の最初の3分の1で起こるが、昼寝では起こらない。この病態は小児に多く見られ、成長とともに減少する。発熱性疾患、睡眠不足、激しい運動、ストレス、及び薬剤が…

睡眠時随伴症

睡眠状態が分離したもので、覚醒とノンレム睡眠レム睡眠の同時混在である。 **** photo: EEG Waves 睡眠時随伴症は睡眠時に際だって又はもっぱら生じる不快又は望ましくない行動又は経験的な現象である。以前は精神疾患であると考えられていたが、現在で…

ナルコレプシーの症状と治療

カタプレキシー、幻覚、睡眠時麻痺、自動行動、夜間睡眠障害などが現れる。 **** image: Polysomnography ナルコレプシーは日中に眠気を抑えることが出来なく、眠ってしまう疾患である。特に、座っていたり、体を動かしていないとき、たとえ十分な睡眠時…

睡眠障害の診断 ― 主観的診断と客観的診断

睡眠日記をつけると眠れない理由がわかる。 **** image: エドワース眠気スケール質問表 Diagnosis 主観的診断 睡眠日記 睡眠日記は睡眠障害の診断で使われる他、睡眠に影響を与える要因を患者自身が発見することができる。睡眠日記を続けることにより患…

睡眠障害の症状と原因

睡眠過剰症、不眠症、概日リズム睡眠障害、及び睡眠時異常行動。 **** 睡眠障害の症状は大きく4つに分類できる。睡眠過剰症、不眠症、概日リズム睡眠障害(生体時計障害)、及び睡眠時異常行動。 睡眠過剰症は望ましくない状況、例えば、人と話している…

前頭側頭葉変性症になると

前頭側頭型認知症、非流暢失語症、名称失語症、意味的認知症などを発症。 **** 症状 前頭側頭葉変性症が進行すると、患者によっては広範な認知障害が起こる。 前頭側頭型認知症 前頭側頭型認知症では症状は徐々に現れる。早期の症状として無関心、積極性…

前頭側頭葉変性症とは

変性が生じる大脳の領域により症状が異なる。 **** credit: tau protein, Neuroscience News 前頭側頭葉変性症は神経変性疾患であり、症状として実行機能喪失による行動と態度の障害が現れる。前頭側頭葉変性症には更に言語障害と四肢運動障害が生じる。…

レビー小体型認知症の診断と治療

認知障害、神経精神障害、運動障害、睡眠覚醒調節障害。 **** photo: 抗パーキンソン病薬、レボドバ レビー小体型認知症には4つの主要な症状がある。認知障害、神経精神障害、運動障害、及び睡眠覚醒障害。 認知障害はアルツハイマー型認知症と一部重複…

脳死

医学的にも法律的にも人の死と認められる。 **** 脳死は臨床的に脳の機能がすべて不可逆的に停止したことが検査で示されたとき人の死の判定に使われる言葉である。病気や外傷により脳が破壊されるか、脳の臨床機能が不可逆的に失われると、人は死を迎え…

レム睡眠行動障害

夢を見ながら体を動かしている人は、パーキンソン病などの神経変性疾患にかかるリスクが高い。 **** レム睡眠 通常の睡眠には2つの状態がある。ノンレム睡眠とレム睡眠である。レム睡眠時には、眼球は早く動き、呼吸は乱れ、血圧は上昇し、筋緊張が失わ…

レビー小体型認知症とは

大脳辺縁系や皮質にできたレビー小体により発症する認知障害。 **** レビー小体型認知症では認知症とパーキンソン病の両方の症状が現れるが、歩行障害以上に他の症状(幻覚、震え、及び睡眠障害)が強く現れる。 レビー小体型認知症の診断基準 次の条件…

血管性認知症

リスク要因は心臓血管疾患、糖尿病、及び高血圧。 **** 血管性認知症は脳梗塞が原因の認知症である。 脳血管疾患による認知障害で、認知症ほど重くない疾患を血管性認知障害とよぶ。 脳血管疾患による認知症候群の判断基準 臨床的に注意すべき脳血管疾患…

認知症患者のための知能評価検査

認知障害の初期段階では臨床検査では判別が困難なため、知能評価テストを行う必要がある。 **** 高齢者の神経精神障害を調べるには神経の検査に加えて、知能評価テストが必要である。知能評価テストには気分、情緒、及び認識力が含まれる。 簡単な判別テ…

アルツハイマー病の診断と鑑別診断

神経変性疾患による認知症とアルツハイマー病との違いは運動機能障害の有無である。 **** 診断 アルツハイマー病の診断は病歴と臨床検査に基づく。病歴で重要な要素は認知障害の緩やかな発症と前向健忘である。知能評価検査により短期記憶障害と他の記憶…

植物状態の診断と治療

現在、植物状態を改善する治療法は存在しない。 **** photo:NEC脳波計EE2500シリーズ 植物状態の患者の約40%が最初、最低意識状態と診断されている。 植物状態の症状 患者には意識や刺激に対する反射応答がなく、話すことができない。 睡眠覚醒サイク…

アルツハイマー病の症状 ― 前向健忘と視空間失認

軽度では時折の失念であるが、重度になると身の回りの世話ができなくなる。 **** 前向健忘 アルツハイマー病の初期では前向健忘により新たな情報が記憶できなくなる。患者は最近の出来事や会話の内容を忘れ、物の置き忘れ、今日の日付が分からなくなる、…

植物状態の疫学と病理

覚醒しているが意識がなく、永続的に変化しない病態。 **** 植物状態は意識障害で、臨床検査上、患者は覚醒しているが意識がない病態である。植物状態は昏睡状態から意識状態への自然治癒の過渡状態の場合がある。又は、植物状態は永続的に変化しない病…

アルツハイマー病の原因

アルツハイマー病は神経突起斑と神経原繊維変化により生じる。 **** アルツハイマー病は海馬の萎縮が特徴的で、MRIにより海馬の容積の減少が確認できる。 萎縮が進むことにより、エピソード記憶障害が起こり、その後に言語機能、視空間機能、及び実行機…

昏睡患者の緊急治療

診断、生命維持、及び治療を同時に行う。 **** すべての患者に必要なことは呼吸、循環、及び発作の管理である。昏睡の原因が不明又は髄膜炎でない患者に対しては、診断時にブドウ糖、チアミン(ウェルニッケ脳症防止)、及び必要に応じてナロキソン(麻…

昏睡の症状

昏睡と閉じ込め症候群との区別が必要。 **** 患者が昏睡状態になると、刺激に反応しなくなり、目覚めることがなくなる。患者の意識は耳元で名前を大きな声で呼んで確かめる。 患者が閉じ込め症候群にかかっていないことを確認するために、患者にまばたき…

アルツハイマー病とは

アルツハイマー病を発症すると、その時から未来の記憶は失われる。 **** アルツハイマー病の主要な症状は前向健忘症である。前向健忘症とは発症後新しい情報が記憶できない記憶障害。 アルツハイマー病の前向健忘症候群の判定基準 認知症であること。 新…

昏睡が起こるわけ

昏睡は脳の組織の損傷又は脳の広範なニューロンに対する代謝作用又は中毒により起こる。 **** 昏睡、昏迷、睡眠の違い 昏睡は患者が自覚も覚醒もしない目を閉じて刺激に反応しない病的状態である。 昏睡は1つの病的状態ではなく、刺激に対する反射応答の…

軽度認知障害(その2)

軽度認知障害患者は自己の症状が気になるが、認知症患者は気にならない。 **** photo: アルツハイマー病治療薬ドネペジル 症状 軽度認知障害患者は物忘れなどの認知障害を悩むようになり、医師の診察を受けることになる。 患者は直前に行った動作や会話…