医学よもやま話

医学情報をご提供します。

癌治療

吐き気と嘔吐

胃腸障害と非胃腸障害に分類される。 **** 吐き気 吐き気は嘔吐が切迫した不快な感覚である。 嘔吐 嘔吐は胸腹筋肉組織の圧迫により十二指腸及び幽門洞の逆方向収縮により胃内容物が口腔に排出されることである。 2から3時間前に食べた物を嘔吐した場合…

放射線肺障害 ― 肺癌の放射線療法による副作用

短期間で寛解するが、慢性化することもある。 **** Photo: 放射線標識 事故又は作業による放射線被曝は全身に障害が起こり、肺に対しては、最も毒性が強い。 放射線療法による肺炎 悪性腫瘍の治療では併用療法として放射線が使用される。副作用として肺…

胃癌の治療と予後 ― 根治手術と緩和手術

早期なら完治し、末期なら余命1年未満 **** Photo: オリンパス上部消化管内視鏡 外科療法 遠位の胃癌(幽門部の胃癌)では肝門と膵頭部のリンパ節とともに胃の部分切除を行う。 近位の胃癌(胃底部及び胃体部の胃癌)では胃の全摘出を行う。更に、死亡率…

食道癌の治療

癌治療で最も難しく、予後も悪い。 **** 手術治療 食道癌の治療の中心は手術である。医療技術の向上により、手術における死亡や手術後の死亡は減少しているが、未だ大掛かりで難しい手術である。手術には経胸腔手術、経裂口手術、及び根治的一括切除があ…

ケモブレイン - 化学療法性認知障害

抗癌剤治療を受けている間、及びその後、記憶や認知機能に一時的に障害が現れる。 **** 乳癌の生存者には記憶やその他の認知障害が現れる。 抗癌剤の治療を受けた乳癌患者に認知障害の症状が現れることが1980年代に報告されていた。当時は乳癌治療後に生…

小細胞肺癌の治療

転移ステージでは化学療法や標的分子療法は対処療法で生存率は上昇しない **** 小細胞肺癌治療の中心は化学療法である。この病気は進行が早く、体の遠位に転移する。過去10年間で、小細胞肺癌の治療方法は大きな進歩は見られない。 限局ステージ 小細胞…

非小細胞肺癌の治療

将来の非小細胞肺癌の治療はゲノム情報、薬理反応、及びプロテオミクスに基づいて治療が行われる **** image: Surgical Knives ステージI及びII ステージIとIIの非小細胞肺癌における最初の治療は癌切除。手術前に、努力呼気肺活量、肺拡散能力、及び血…

肺癌の種類と疫学 ― 癌死亡の男性第1位、女性第2位は肺癌

タバコを吸い続けていると、高齢になってから肺癌で苦しむことになる。 肺癌の種類 肺癌は気道上皮に生じる。肺癌は主に非小細胞性肺癌と小細胞性肺癌の2つのグループに分類される。小細胞性肺癌は肺癌全体の約85%を占める。この他の呼吸器系の癌として腺扁…

良性乳房疾患

良性乳房疾患と診断されても、時間の経過で乳癌に変化することがある **** 良性乳房疾患には乳房痛(痛みと圧痛)、乳腺炎(感染性と非感染性炎症)、外傷、及び良性腫瘍がある。乳房痛は乳房外に原因がある場合があり、心筋虚血、肺炎、胸膜炎症、食道…

乳癌予防 ― 手術、薬剤、生活習慣改善

乳房摘出しても乳癌リスクはなくならない **** 乳癌は死亡リスクが高いため、予防の関心が高まっている。現在行われている方法は手術、薬剤、及び生活習慣の改善である。 予防的乳房摘出と卵巣摘出 癌抑制遺伝子BRCA1又はBRCA2に変異がある場合、乳癌発…

癌の骨への転移

女性では乳癌、男性では前立腺癌が骨への転移が起こりやすい **** credit: 骨シンチグラフィ検査装置、東芝メディカルシステムズ 骨に転移する癌 癌が進行すると、癌は体の様々な臓器や組織に転移する。女性では、乳癌が、男性では前立腺癌が骨に転移し…

乳癌の支持療法

乳癌は治癒しても、様々な症状が出るため、長期にわたる医療サポートを受ける必要がある 骨の健康維持 乳癌において最も癌が転移する部位が骨である。患者で最も病状が強く現れる所が骨である。 ホルモン療法又は化学療法とともに、骨吸収阻害薬であるビスホ…

転移性乳癌の治療

癌の治癒から、症状の緩和、患者の生活を支持する療法への移行 **** ホルモン療法 転移性乳癌で最初に行われる治療がホルモン療法。ホルモン療法は良好な臨床実績をあげている。 ホルモン療法を受けるためには癌細胞のホルモン受容体が陽性であること、…

炎症性乳癌

乳房外観の異常は進行性の炎症性乳癌のサインかも知れない **** 炎症性乳癌とは 炎症性乳癌は稀であるが、進行が速い病である。癌細胞が乳房内のリンパ管の流れを止めてしまうため、乳房が膨れて、赤くなり、炎症を起こすからこの名前が付けられている。…

進行性乳癌と転移性乳癌

乳癌が進行した場合の治療は患者の病気の治癒ではなく、症状緩和が中心となる **** ステージIIIの乳癌 局所進行性又は外科切除不能なステージIIIの乳癌は乳癌全体の10%を占める。 ステージIIIの乳癌は大きな原発性腫瘍か、リンパ節又は皮膚又は胸壁への…

早期乳癌患治療後に必要な専門医によるフォローアップ 

乳癌が完治した後でも再発のリスクがあるため長期のケアーが必要 **** credit: ミクリガ池への長い階段 早期乳癌で局所療法及び全身療法を受けた患者は乳癌の再発防止のため長期にわたり専門医の診察と検査を受けなければならない。再発の可能性は癌治療…

コロニー刺激因子 ― G-CSFとGM-CSF

抗癌剤による減少した白血球を増加させ、感染症を防止する **** credit: コロニー刺激因子製剤フィグラスチム、SANDOZ コロニー刺激因子 癌治療のため化学療法を行うと、血球が減少する。白血球の減少は患者の感染のリスクが高くなる。 コロニー刺激因子…

補助化学療法

補助化学療法は癌転移に対する保険である **** image: アクラシノン(日本で開発されたアントラサイクリン系の抗がん性抗生物質) 補助化学療法とは 補助化学療法は癌治療の一種であり、化学療法と放射線療法又は化学療法と外科手術が組み合わせである。…

初期乳癌補助全身療法としてのホルモン療法

潜伏している微小転移の治療 **** image: ホルモン療法薬タモキシフェン 初期乳癌の全身療法 補助全身療法は潜伏している微小転移癌を抑制又は死滅させる治療法。化学療法、ホルモン療法、生物学的療法、及びこれらを組み合わせであり、初期乳癌の局所療…

最新の放射線療法 ― 4次元放射線治療と定位放射線療法

正常な組織を害することなく、癌を短期に死滅させる **** credit: 4次元放射線治療装置Vero4DRT、三菱重工 放射線治療 放射線療法は癌細胞のDNAを直接破壊、又は遊離基を作りDNAを間接的に破壊して、癌細胞を死滅させる。普通の細胞と異なり、癌細胞は自…

乳房近接照射療法 ― 乳房部分照射療法

放射線治療が短時間で終わり、副作用も少ない **** credit: マンモサイト、MammoSite 乳腺腫瘍摘出後の放射線療法 乳腺腫瘍摘出術の後に通常、放射線療法が行われる。手術で除去できなかった癌細胞を放射線で死滅させ、乳癌再発を防止する。 乳腺近接照…

乳癌のための補助放射線療法

手術で取り除けない癌細胞を放射線で死滅させる **** credit: 放射線治療装置、Normal Noble, Inc. 補助放射線療法 腫瘍を摘出しても、癌細胞が潜んでいる場合がある。これら目に見えない癌細胞を死滅させるために行うのが補助放射線療法である。 補助放…

乳癌におけるセンチネルリンパ節生検

腋窩リンパ節の全摘はリンパ浮腫などの悪影響がある **** センチネルリンパ節 センチネルリンパ節の仮説によれば、腫瘍細胞は原発腫瘍から拡散した腫瘍細胞は1個又は数個のリンパ節に転移する。青色の染料又は放射線トレーサ又は両方を腫瘍の周囲の皮膚…

浸潤性乳癌の手術

医学の進歩により、早期の乳癌では乳房を温存でき、ほとんどの腋窩リンパ節を残すことができ、リンパ浮腫を免れることが出来る。 根治乳房切除術と非定型根治的乳房切除術 根治的乳房切除術(乳房組織、腋窩リンパ節、及び胸筋の切除)は長年に渡り乳癌治療…

早期乳癌の治療法

非浸潤性乳腺小葉癌は若い女性がかかりやすい。マンモグラフィで見つけにくいため、乳癌の進行が見過ごされてしまう。 **** credit: Mammomat, Siemens 乳癌の早期発見 乳癌への関心の高まりやマンモグラフィの普及により、乳癌と新たに診断される症例の…

乳癌のステージ、予後、及びマーカ

乳癌の治療効果も事前に分子レベルのマーカで予測可能 **** 乳癌のステージ - TNM分類 TNM分類では3つの基本要素から構成される。原発腫瘍(primary tumor = T)、所属リンパ節(regional node= N)、及び転移(metastasis = M)。添字で腫瘍の大きさ及…

乳房に異常を感じたら、乳癌の僅かな可能性でも完全に排除する

乳癌の症状と診断 credit: マンモグラフィ画像、UMMC 乳癌の発見 乳癌は通常マンモグラフィで病変として、又は乳房の状態の変化として検出できる。状態の変化としては、しこり(非対称の肥厚)、乳首からの分泌物、あるいは乳房又は乳首の形状の変化がある。…

エストロゲンと遺伝で女性は乳癌になる

乳癌発症のリスク要因 **** credit: gene, PHYS.ORG 乳癌とは 乳癌は乳房内の癌細胞が増殖して生じる。癌細胞は乳腺の内層又は乳管(乳管上皮)に生じる。癌細胞は無限に細胞分裂を繰り返して、異常増殖し、正常な組織を浸潤したり、他の臓器に転移する。…

乳房再建術で予期できない副作用が現れる

再建した乳房は無感覚になる **** 乳癌治療 乳癌を発症したり、遺伝子検査で乳癌のリスクがある場合は、乳房を失うことになる。患者は喪失感に苛まれることになる。近年、外科手術が飛躍的向上し、切除した乳房とほぼ同じ形状で乳房を再建することが可能…

放射線腸炎

腹腔内及び骨盤腫瘍のための放射線療法では放射線誘発傷害のリスクがある **** credit: 放射線治療装置、がん研有明病院 **** 疫学 放射線誘発傷害のリスクは放射線照射域の大きさと放射線照射量により変化する。放射線療法の合併症として照射後約1年で…

乳癌検査のリスクと健康被害

乳癌検査の問題点 **** 写真:マンモグラフィ検査装置 乳癌検査の効果の研究 17年に及び研究の結果、マンモグラフィ検査は一定の年齢に達した女性が行う乳癌検査は進行癌の発症を低減するが、健康問題に結びつかない病変の診断が増加すると結論付けた。

前立腺肥大と前立腺癌の違い

前立腺肥大と前立腺癌の症状は似ており、区別は難しい。 **** 良性前立腺肥大は前立腺癌に進行することはない。 直腸触診 前立腺に異常がないか直腸内壁を介して人差し指で医師による触診が行われる。前立腺が肥大している場合は、触診で検出できる。良…

腫瘍と癌の違い

腫瘍は転移しないが、癌は他の組織に浸潤、転移し命にかかわる。 **** Credit: 手術灯、アトムベッツメディカル 腫瘍は癌の場合もあるが、癌と腫瘍は同義語ではない。すべての腫瘍が癌ではない。従って、腫瘍は癌化しているか検査する必要がある。 細胞…

膵臓癌の治療と予後

切除不能の膵臓癌患者の平均余命は1年未満である。 **** Credit: Surgical knife, Feather 転移のない原発性膵臓腺癌は最も一般的には外科切除で治療する。手術は多くの実績のある医療機関で受ける必要がある。切除手術の成果は外科医のスキルと経験に…

膵臓腫瘍マーカ

腫瘍マーカは治療の効果の判断に使用される。 **** 腫瘍マーカは腫瘍組織から分泌され、血流に放出される物質である。患者の血清から腫瘍マーカが検出されると、患者に腫瘍がある可能性がある。しかし、腫瘍マーカの臨床的な使用は限定的である。 credit…

膵臓癌の鑑別診断と画像検査

CTスキャンにより血管浸潤や転移を検出することが出来る。 **** 膵管癌は急性又は慢性の膵臓炎と鑑別診断を行う必要がある。患者が膨大部癌及び遠位胆管癌を発症しても胆道閉塞及び黄疸が現れる。 画像診断では嚢胞性膵臓腫瘍と非癌化膵臓偽嚢胞の区別が…

膵臓癌の臨床症状

50歳を過ぎてからの高血糖症は膵臓癌の可能性がある。 **** 膵臓癌患者の早期症状として腹部の不快感、吐き気、嘔吐、睡眠障害、食欲不振、及び全身倦怠感がある。 Image: Surgical knife, Feather 膵臓癌患者の一般的な症状として上腹部の痛み、閉塞性…

膵臓癌の病理学

膵臓癌は早期に前駆体を見つける必要がある。 **** 前駆体 浸潤性膵臓癌の前駆体として3つの病態が知られている。膵管内上皮病変、膵管内乳頭粘液性腫瘍、及び粘液性嚢胞性腫瘍である。 credit: CT scanner, Siemens 膵管内上皮病変は膵管上皮細胞に生じ…

膵臓癌の疫学

膵臓癌の5年生存率は5%未満であり、ほとんどの患者は2年以内に死亡する。 credit: Ultrasonic Imaging Device, Fuji Film 定義 膵臓腫瘍の大部分が管上皮に出来るため通常、膵臓癌は管腺癌を意味する。 疫学 膵臓癌は罹患率と比較して死亡率が男性で5位、女…

進行大腸癌患者のための転移疾患の局所治療法

肝臓転移巣切除患者における5年生存率は25から40%である。 **** 大腸癌患者に肝臓転移又は肺転移が起こった場合は、標準治療法として転移巣切除により、長期の生存が可能になります。統計によると、肝臓転移巣切除患者における5年生存率は25から40%の…

転移性大腸癌の全身療法と併用療法

併用療法は転移性大腸癌患者の平均生存率を大幅に伸ばすことが可能である。 **** 転移性大腸癌患者には出現部位(結腸又は直腸)にかかわらず同じ治療が行われます。 治療不能な転移性大腸癌を発症した場合、対処療法だけでは、患者の平均生存期間は約6…

直腸癌の全身療法と併用療法

ステージIの直腸癌は切除だけで治癒する場合が多い。 **** 直腸癌を切除するとき、切除端面を陰性に(癌細胞が残らないように)することは困難であるため、患者は放射線療法を受ける必要があります。特に、切除端面が陽性の場合、直腸癌の再発リスクは非…

大腸癌のための全身化学療法と併用化学療法

全身化学療法は原発性の癌のみならず、転移癌に対する治療である。 **** 大腸癌の補助化学療法及び転移疾患の基本薬は代謝拮抗薬であるフッ素化ピリミジンです。代謝拮抗薬は消化管内では活性化せず癌細胞内で活性化します。 最も一般的に使用されている…

大腸癌と放射線治療

放射線は癌細胞のDNAを損傷させ、癌を死滅させる。 **** 放射線療法の特質 放射線は細胞内の酸素を超酸化物、過酸化水素、又は水酸基に変化させます。これにより、DNAは損傷を受け、細胞死に至たります。放射線療法は限りなく細胞分裂を繰り返す腫瘍に非…

大腸癌手術

転移なければ、癌切除が癌の基本的な治療法です。 **** 大腸癌が転移しても、一定の条件で、手術で根治治療が可能な場合があります。 credit: Surgical needle, CS Labo 結腸癌は癌に血液を供給している動脈とリンパ管をひとまとまりに切除し、癌細胞が…

大腸癌の病期分類と予後

結腸癌が転移すると5年生存率は6から8%と非常に低くなる。 **** 大腸癌の病期分類(ステージ決定) 大腸癌のの予後と効果がある治療法を決定するために正確に病期分類(ステージ決定)する必要があります。他の癌と異なり、大腸癌のステージは大きさで…

免疫療法

最も進歩した癌治療法 **** 近年の癌研究で最も進歩した治療法の一つが免疫療法です。免疫療法薬オプジーボは前京都大学医学部教授の本庶佑氏の研究チームが開発に貢献し、また年間服用した場合の費用が3500万円かかることでも有名です。 credit: Opdivo…

オートファジーと医学

オートファジーの父にノーベル医学生理学賞が贈られる **** 2016年ノーベル医学生理学賞が東京工業大の大隅良典栄誉教授に贈られることになりました。授賞理由は「オートファジー(自食作用)の仕組みの発見」です。 この研究は、脳神経疾患であるパ…

癌は遺伝子病である

癌は遺伝子の変異により起こる **** 癌は多くの遺伝子の変異により起こります。遺伝子の変異には体細胞突然変異(癌にのみ存在)と生殖細胞変異(遺伝し、体のすべての細胞に存在)があります。 credit: PHYS.ORG 腫瘍遺伝子は細胞の増殖を刺激する正常…

腫瘍随伴症候群

癌によって引き起こされる疾病 ある種の癌は神経の機能に影響を及ぼし、認知症、気分動揺、発作、協調運動不能、めまい、複視、及び眼の異常な動きなどを引き起こします。末梢神経に最も影響が出て、筋力低下、まひ、刺痛感が現れます。 腫瘍はホルモンを分…