医学よもやま話

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救急医療

昏睡と昏迷の違い

刺激に対する反応の有無 **** 昏睡 昏睡は目を閉じて、無反応の状態で、意識も覚醒もない病態である。患者は刺激を与えても意識を取り戻したり覚醒することはない。 昏睡には刺激に対して反射するレベルがある。昏睡は意識障害の中で最も重いものである…

心臓震盪 ― 前胸部の致死的な強打

前胸部への強打がスポーツにおける最大の原因である。 **** Photo: 訓練用AED、LIFEPAK CR-T 前胸部強打による心停止 前胸部に突然非貫通性で一見無害の衝撃をうけると、心室細動により心停止、その後死に至る。この病態を心臓震盪とよぶ。 心臓震盪は主…

圧迫性ショック ― 緊張性気胸と心タンポナーデ

胸部外傷による空気と血液が肺と心臓に重大な障害をもたらす **** Photo: 緊急心膜穿刺、Dr. Gaber Saied Mubarak 肺又は心臓の圧迫 肺又は心臓が空気、液体、又は血液で圧迫されると、右心室の拡張期充満または適切な換気や酸素供給ができなくなる。 肺…

救急搬送とプライマリー・サーベイ

命にかかわる傷害を見逃さない。 **** Photo: 救急搬送 救急搬送 統計によると、患者を病院に搬送する前に高度な救命処置を行うことより、応急処置と迅速な搬送が重要であることが判明している(注1)。 静脈アクセス 外傷患者に対しては迅速に輸液のた…

酸素投与による肺の障害

高濃度の酸素供与は肺に有害である。 **** Photo: 酸素吸入用フェイスマスク 低酸素呼吸障害では酸素投与が必要になる。 急性呼吸窮迫症候群などの重度の低酸素症の場合、高濃度の酸素供与が長時間に渡り必要になる。しかし、空気に含まれている酸素より…

出血性ショック

大量出血による致死性ショック **** 大量出血 事故などによる出血や、消化器官の潰瘍または血管破裂、子宮外妊娠時の破裂などによる内出血のために、血液が急速に失われることがある。 症状 症状としては眠気や錯乱が現れる。皮膚は青白くなり、心拍数が…

致死性の高い傷害 

直ちに死に至る傷害と時間を経て死に至る障害がある。 **** Photo: 体に致死性の傷害を起こす弾丸 致死性の高い傷害の3つのモード 1番目のモード ― 心臓からの大量出血、大血管の裂傷、又は重大な神経損傷により患者の半数は数分以内に死に至る。 1番目…

一酸化炭素中毒 ― どこにもリスクがある

治療を誤ると神経精神的な症状に長く悩まされる。 **** Credit: 七輪の危険性、アウトドアまとめ 一酸化炭素は炭素含有の燃料を燃焼させると発生する。 炭素系燃料はいたるところで使われているため、煙を吸い込むことは一酸化炭素を吸い込むことである…

火災で煙を吸ってはいけない理由

煙吸入と気道熱傷 **** Credit: 糸魚川大火、新潟テレビ21 火災による多くの人が煙を吸入して、熱傷により気道や肺に障害が起き、死に至っている。 熱傷罹患部位 煙が上気道に入ると熱は急激失われるため、直接の熱傷の多くは声門上気道に限定される。 …

潜水で起こる病気 - 減圧症

スキューバダイビングで起こる症状と治療 **** Credit: Scuba Diving, SDI TDI ERDI 水深6メートル以上の潜水を行うと周辺圧力の低下により、数分から24時間以内に体に症状が現れる。 症状の種類と程度は周辺圧力の変化の回数と大きさにより異なるが、個…

潜水急浮上で生じる潜水病 - 動脈ガス塞栓症 

窒素の泡が動脈を塞ぎ、虚血により臓器不全が起こる **** 動脈ガス塞栓症はガスの泡が動脈に入り血流を妨げることにより臓器が虚血して死に至る恐れがある病態である。 静脈ガス塞栓は症状が現れないが、心臓に左右短絡があると重大な脳卒中などの疾患が…

溺水患者の病理から予後まで

溺水による体内の変化と治療 **** Photo: 遊泳禁止標識 溺水は水没により呼吸障害が起こり、酸素が欠乏し、肺や脳など複数の臓器が損傷する。治療としては呼吸停止、心臓停止、無酸素症、低換気、及び低体温症の改善である。 飲酒、4歳未満の幼児、及び…

薬剤の誤飲と過剰摂取

幼児が誤って薬剤を飲んた場合や薬剤を大量に服用した場合 **** 人体に有毒な物質を摂取する場合として、幼児による誤飲、薬剤過剰摂取、飲薬物乱用、飲酒による毒性増強があげられる。 睡眠導入剤のような処方薬も指定の容量を超えれば有毒になる。 薬…

幼児がアメを喉に詰まらせた時、老人が餅を喉に詰まらせた時

腹部突き上げ法と背部叩打法 **** Credit: 焼いた餅、Kikkoman YouTube動画: 異物除去法(岸和田市) 異物が喉又は気管に留まると、空気の流れが止まるため人は窒息する。成人では、多くの場合異物は食物片である。幼児の場合は食べ物以外を吸い込んで…

有毒物と有害物の誤飲の治療法

第1が気道確保、第2が救急搬送。 **** Credit: 腹部突き上げ法による異物除去、How to Give the Heimlich Maneuver 異物による気道閉塞 気道に異物が詰まった場合は、幼児の場合は背中をたたいて取り出す(背部叩打)。妊婦や肥満患者の場合は、ハイムリ…

有毒物と有害物の誤飲の対応

無理に吐かせず、救急搬送により、病院で治療を受けること。 **** Photo: 有毒物の誤飲 - ボタン電池 有毒物や有害物の誤飲は幼児、高齢者、認知症患者、アルコール中毒患者で多く見られるが、健常人でも毒物を飲まされる事件も報道されている。 有毒物…

緊急高血圧症

対応が遅れると臓器不全により死に至る。 **** 緊急高血圧症(高血圧性クリーゼ)は血圧が急上昇し、臓器不全が急激に進行する。心筋及び脳の虚血と梗塞、肺浮腫、及び腎不全を生じる。 緊急高血圧症では重度な症状なく血圧の急上昇や臓器不全の証拠なく…

昏睡患者の緊急治療

診断、生命維持、及び治療を同時に行う。 **** すべての患者に必要なことは呼吸、循環、及び発作の管理である。昏睡の原因が不明又は髄膜炎でない患者に対しては、診断時にブドウ糖、チアミン(ウェルニッケ脳症防止)、及び必要に応じてナロキソン(麻…

外傷性脳脊髄損傷の予後

頭にホールが当たって、安易にスポーツを続けると悪化して死に至ることがある **** 外傷性脳損傷 外傷性脳損傷患者の予後は最初に行われる神経学検査で精度高く予測できる。重度の外傷性脳損傷の予後の指標としてグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)が…

外傷性脳損傷の治療

軽度又は中度の外傷性脳損傷患者は救急病院に搬送されるまでに意識が正常に戻ることがある。脳震盪が重度であると意識回復に時間がかかる。 **** 外傷性脳損傷の種類 外傷性脳損傷には緊急の外科手術が必要となるものと、そうでないものがある。穿通創、…

カナダ頸椎規定

放射線画像検査で使用される放射線と造影剤は人体に有害であるため、カナダでは検査が必要な条件が規定されている **** image: Canadian C-Spine Rule カナダ頸椎規定は頭部又は頸部に障害を負った患者が救急搬送された場合、脊椎損傷の診断で放射線画像…

外傷性脊髄損傷の診断

検査に異常がなく、脊椎に痛み、痺れ、刺痛感、脱力感がなければ、脊髄損傷の可能性は低い **** 外傷性脊髄損傷の診断では損傷の程度及び障害の重症度を判別する他に神経学検査が必要である。これに加えて、早い段階で神経障害の程度を詳細に記録する必…

外傷性脳損傷の診断

グラスゴー・コーマ・スケールによる判定と神経学的検査 **** chart: Glasgow Coma Scale グラスゴー・コーマ・スケール 外傷性脳損傷はグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)で直ちに脳の状態を判定する必要がある。 GCSでは目の開き(4:自発的~1:無…

アルコール中毒の対処と治療

アルコール中毒に対する素人療法は、患者の症状を悪化させ、死に追いやることになる。 **** アルコール中毒に対する誤った考え方 寝ていれば症状は改善する ― 寝ている間に、意識を失う。 コーヒを飲む ― アルコール中毒は改善しない。 冷たいシャワーを…

アルコール中毒の症状と合併症

アルコール中毒は致死性が高く、様子を見ている訳にはいかない。 **** アルコール中毒はアルコールを短時間に大量に摂取することにより起こります。他のアルコール中毒として、イソプロピルアルコール(消毒用など)やメチルアルコール(不凍液など)に…