医学よもやま話

医学情報をご提供します。

循環器科

体循環と肺循環の違い

酸素、二酸化炭素、栄養分、及び老廃物の循環路 **** Credit: “Pulmonary and Systemic Circulations”, Educational channel 体循環 体循環は酸素と栄養分を含んだ血液が心臓の左心室から大動脈及び他の動脈を通り全身の毛細血管に送られ、二酸化炭素と…

心房と心室の違い

心房は肺と全身から血液を受け入れ、心室は血液を肺と全身に送り出す。 **** Credit: “The Anatomy of the Heart”, Wisc-Online 人間の心臓は2つの心房と2つの心室に区分されている。 心臓は血液を血管を介して体の隅々まで送る臓器であり、肺循環と体循…

心臓発作と心不全の違い

心臓発作により心不全が起こる **** Photo: 心不全の治療に使用されるペースメーカ、Boston Scientific 心臓発作も心不全も心臓血管の疾病である。多くの患者は病院に着く前に心臓発作や心不全で死亡している。 心臓発作 心臓へ血液を送る冠動脈と呼ばれ…

心臓震盪 ― 前胸部の致死的な強打

前胸部への強打がスポーツにおける最大の原因である。 **** Photo: 訓練用AED、LIFEPAK CR-T 前胸部強打による心停止 前胸部に突然非貫通性で一見無害の衝撃をうけると、心室細動により心停止、その後死に至る。この病態を心臓震盪とよぶ。 心臓震盪は主…

緊急高血圧症

対応が遅れると臓器不全により死に至る。 **** 緊急高血圧症(高血圧性クリーゼ)は血圧が急上昇し、臓器不全が急激に進行する。心筋及び脳の虚血と梗塞、肺浮腫、及び腎不全を生じる。 緊急高血圧症では重度な症状なく血圧の急上昇や臓器不全の証拠なく…

難治性高血圧

疑似抵抗性高血圧と二次性高血圧を疑う。 **** Photo: オムロン電子血圧計 高血圧患者の5人に1人は薬物耐性高血圧であり、異なるクラスの高血圧薬を同時に服用しても目標血圧に低下することができない病態である。 疑似抵抗性高血圧 この病態の多くは疑…

高齢者の収縮期高血圧

ACE阻害薬(又はARB)、CCB、及び利尿薬の3つのクラスの抗高血圧薬で治療する。 **** Photo: 水銀血圧計 高齢の収縮期高血圧患者で、収縮期血圧を150mmHg以下に低下させることにより、脳卒中を30%、心筋梗塞を23%、心臓血管疾患による死亡を18%低減で…

糖尿病患者のための高血圧治療薬

高血圧は末期腎不全へのリスクを高める。 **** Photo: オムロン電子血圧計 米国での調査によると、成人の25%が高血圧にかかっているのに対して、糖尿病患者では75%が高血圧症である。高血圧は心筋梗塞、脳卒中、心不全、微小血管障害、及び糖尿病性腎…

合併症を伴わない一次性高血圧患者の治療

異なるクラスの薬剤併用で相乗効果が得られ、副作用なく低用量で血圧がコントロールできる。 **** Photo: 飲み忘れ防止薬入れ 患者に適した抗高血圧薬 抗高血圧薬は主に血圧の低下と合併症の防止を目標とし、副作用が少なく、費用効果の高い薬剤を選択す…

血管拡張剤

副作用が大きいため、用途は限定されている。 **** Photo: 血管拡張剤ヒドララジン、AKORN 血管拡張剤は血管を構成する平滑筋を弛緩させて血管を拡張させる。血管拡張剤としてミノキシジル、ヒドララジン、ニトログリセリン、ニトロプルシド、ネシリチド…

中枢性交感神経遮断薬

難治性高血圧の短期使用の経口治療薬 **** photo: クロニジン、Kaiser Foundation Health Plan, Inc. 中枢性交感神経遮断薬は脳幹中枢の中枢性a2アドレナリン受容体を刺激して、交感神経の活動を抑え、ノルエピネフリンの心臓及び末梢神経への放出を低下…

交感神経受容体遮断薬 - α、β、及びαβ受容体遮断薬

**** photo: プラゾシン、 α遮断薬 交感神経の興奮が心臓洞房結節のβ受容体に作用すると心拍数と心拍出量が増大する。末梢血管のα受容体に作用すると血管収縮が起こる。交感神経系が作動し続けることにより、血管再構築、レニン分泌、及び遠位尿細管によ…

カルシウム拮抗薬

長時間作用型ジヒドロピリジン系が効果、忍容性、安全性が最も優れている。 **** photo: ジヒドロピリジン系アムロジン 作用機序 カルシウム拮抗薬は心筋細胞及び血管平滑筋細胞の電位開口型Ca2+チャネルを塞ぐため、不整脈、狭心症、及び高血圧に効果が…

高血圧治療薬としての利尿薬

利尿剤は最も古く、安価で、最も効果のある高血圧抑制薬である。 **** photo: ループ系利尿薬トルセミド 作用機序 利尿剤による治療を開始することにより、血液量が減少して血圧が降下する。治療を継続すると、血液量は元に戻るが、血管拡張メカニズムに…

高血圧薬剤療法

高血圧治療薬には禁忌と副作用があり、適切に服用しないと薬剤性疾患を引き起こす。 **** photo: クロルサリドン(サイアザイド系利尿薬:欧米では主流の降圧剤であるが、製薬会社の思惑から日本での販売は中止されている。) 高血圧薬は100種類以上が臨…

高血圧の予防と治療

生活習慣を変えることは高血圧治療の補助であって、代替にはならない。 **** 高血圧の防止には塩分摂取を減らし、運動の機会を増やし、新鮮な果物と野菜を多く摂取することが必要。しかし、血圧値が高血圧前段階まで上昇したら、生活習慣を変えただけで…

原発性アルドステロン症による電解質コルチコイド性高血圧

副腎皮質球状帯の腺腫や過形成が原因の高血圧症。 **** credit: Adrenal Vein Sampling, Asheesh K. Harsha MD 病理 アルドステロンは遠位ネフロンの電解質コルチコイド受容体の主要なリガンドであるため、アルドステロンが過剰に産生される腎臓でのナト…

経皮冠動脈形成術と冠動脈バイパス手術の比較

冠動脈形成術は安易に行えるが、冠動脈狭窄の再発リスクが高い **** 経皮冠動脈形成術又は冠動脈バイパス移植手術の選択は患者の病状と心臓及び冠動脈の状態により行われるが様々な問題がある。 経皮冠動脈形成術が行われる場合 患者に急性の冠動脈症候…

冠動脈バイパス移植手術の適応症

日本では、バイパス手術は経皮冠動脈形成術より安全で、合併症も少なく、より確実な手術である **** credit: 狭窄血管、Homeopathic Treatment 冠動脈バイパス移植手術 冠動脈バイパス移植手術は冠動脈の狭窄又は閉塞部を患者から採取した他の血管と入れ…

経皮冠動脈形成術と薬物療法の比較

経皮冠動脈形成術は施術後に重大な心臓血管障害のリスクがあり、再狭窄も起こるが、薬物療法より高い効果が期待できる **** image: 心電図波形 経皮冠動脈形成術治療後のリスク 経皮冠動脈形成術の治療により患者は狭心症が解消し、生活の質の改善につな…

経皮冠動脈形成術後の再狭窄とアテローム血栓性疾患

再発と合併症防止のための医師の術後管理と患者自信による健康管理 **** credit: ロータブレーター、Boston Scientific 金属ステント対薬剤溶出ステント 金属ステントか薬剤溶出ステントの選択は患者の病状に基づいて決められる。金属ステントを使用した…

経皮冠動脈形成術後の再発と合併症のリスク

バルーン、金属製ステント、及び薬剤溶出ステント **** credit: バルーン拡張型ステント、北海道大学 治療後の冠動脈の再狭窄 経皮冠動脈形成術による治療後、冠動脈の狭窄が再発することがある。原因として2つ考えられる。1番目の原因は冠動脈の構造変…

経皮冠動脈形成術の適応患者、治療の成功率、及び合併症

患者のリスクを見誤ると重大な合併症につながり、死に至る **** credit: テルモPTCAカテーテルRX-4 適応患者 経皮冠動脈形成術による治療を行う前に、冠動脈造影検査により、患者の冠動脈の状態を調べる。この治療法が患者に適応出来るか否かの判定を適…

経皮的冠動脈形成術 ― 冠動脈閉塞根治術

冠動脈閉塞の標準の治療法 **** credit: 冠動脈とステント、Sutter Health 世界中の医療機関で採用 経皮的冠動脈形成術は短時間で治療が終了し、局部麻酔の使用と短い入院日数(1日)により患者の負担が少ない。世界の多くの医療機関で採用され、毎年200…

医療機関で受ける心臓病の検査

様々な検査方法により心臓の状態が非侵襲で調べることができる。 **** credit: オムロンポータブル心電計 心電図及び胸部放射線検査 心臓病が疑われる患者は必ず心電図と胸部放射線検査を受ける。心電図検査は脈拍数、律動、伝導異常、及び心筋虚血の特…

立ちくらみと失神の原因と傾斜テーブル検査

立ちくらみや失神は神経または心臓の異常で起こる credit: Tilt Table Testing, Johns Hopkins Medicine 立ちくらみと失神の原因 立ちくらみや失神は心拍出量の減少(徐脈性不整脈、頻脈性不整脈、左右心房流入・流出閉塞)、反射性血管運動安定性異常(血管…

動悸

動悸にはパニック性のものと心臓疾患によるものがある **** 動悸は不規則又は異常な心拍の感覚である。動悸は心臓に異常のない不整脈が原因であったり、心臓に構造的異常のある不整脈による場合もある。 動悸は症状が現れている時間と頻度、増悪因子、胸…

呼吸困難

日常生活で息が苦しくなるときは心臓又は肺の異常である **** 呼吸困難は呼吸が苦しくなる臨床症状で、通常心臓血管又は肺疾患で現れる。体系的な検査により、ほとんどの場合、原因の特定が可能。 急性呼吸困難は心筋梗塞、心不全、重度の高血圧、心膜タ…

循環器疾患の恐れのある患者とは

循環器疾患は早期の検査と治療で死を免れる **** 循環器疾患があると多様な症状や徴候が現れる。循環器疾患にかかっても症状が現れないこともある。循環器疾患は先進国で死因の上位を占めている。この疾患は注意深く早期に見つけ、症状や徴候を詳細に検…

インフルエンザ性肺炎、RSV、鳥インフルエンザ、SARS

インフルエンザ性肺炎 持病のある患者や介護施設入所者で特に適切なワクチン接種をしていない患者では呼吸器感染の鑑別診断においてはインフルエンザ性肺炎を考慮する必要がある。 RSV 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)やパラインフルエンザウイルスはこれまで主…