医学よもやま話

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外科

肛門裂傷と痔の違い 

肛門内壁の破れと肛門静脈の肥大である。 **** 肛門裂傷 肛門裂傷は直腸下部(肛門管)の内壁の破れであり、便通時に痛みがでるが、重症化することはない。 肛門裂傷は年齢に関係なく生じるが、特に健康な若年層に多く生じる。 肛門裂傷の原因には硬く大…

全身麻酔と局所麻酔の違い

リスクと意識消失の有無。 ***** Credit: 歯科治療における局所麻酔、“Chairside Magazine V10-1: Local anesthesia for dental professionals”, Glidewell Dental 全身麻酔 全身麻酔では患者に対して一時的な筋肉の麻痺、意識喪失、痛みの緩和が行われ…

腸捻転と腸閉塞の違い

腸捻転で腸閉塞が起こる。 **** 腸捻転 腸捻転は腸自身のねじれであり、多くはS状結腸に多く見られるが(90%以上)、盲腸や横行結腸でも多く見られる。高齢者はリスクが高い。大腸が腸間膜と癒着すると腸捻転により腸閉塞が起こる。 腸捻転患者には慢…

吐き気と嘔吐

胃腸障害と非胃腸障害に分類される。 **** 吐き気 吐き気は嘔吐が切迫した不快な感覚である。 嘔吐 嘔吐は胸腹筋肉組織の圧迫により十二指腸及び幽門洞の逆方向収縮により胃内容物が口腔に排出されることである。 2から3時間前に食べた物を嘔吐した場合…

盲腸、虫垂、虫垂炎の違い

日本人が盲腸というとき、それは虫垂炎を意味している。 **** Credit: 腹腔鏡下虫垂切除術、Laparoscopic appendicectomy、Brisbane Surgeon 盲腸 盲腸は英語では”cecum”で「一端が開口した空洞」を意味する。大腸の最初の器官で袋状であり、上行結腸と…

圧迫性ショック ― 緊張性気胸と心タンポナーデ

胸部外傷による空気と血液が肺と心臓に重大な障害をもたらす **** Photo: 緊急心膜穿刺、Dr. Gaber Saied Mubarak 肺又は心臓の圧迫 肺又は心臓が空気、液体、又は血液で圧迫されると、右心室の拡張期充満または適切な換気や酸素供給ができなくなる。 肺…

出血性ショック

大量出血による致死性ショック **** 大量出血 事故などによる出血や、消化器官の潰瘍または血管破裂、子宮外妊娠時の破裂などによる内出血のために、血液が急速に失われることがある。 症状 症状としては眠気や錯乱が現れる。皮膚は青白くなり、心拍数が…

致死性の高い傷害 

直ちに死に至る傷害と時間を経て死に至る障害がある。 **** Photo: 体に致死性の傷害を起こす弾丸 致死性の高い傷害の3つのモード 1番目のモード ― 心臓からの大量出血、大血管の裂傷、又は重大な神経損傷により患者の半数は数分以内に死に至る。 1番目…

有毒物と有害物の誤飲の治療法

第1が気道確保、第2が救急搬送。 **** Credit: 腹部突き上げ法による異物除去、How to Give the Heimlich Maneuver 異物による気道閉塞 気道に異物が詰まった場合は、幼児の場合は背中をたたいて取り出す(背部叩打)。妊婦や肥満患者の場合は、ハイムリ…

外傷性脳損傷の診断

グラスゴー・コーマ・スケールによる判定と神経学的検査 **** chart: Glasgow Coma Scale グラスゴー・コーマ・スケール 外傷性脳損傷はグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)で直ちに脳の状態を判定する必要がある。 GCSでは目の開き(4:自発的~1:無…

乳癌におけるセンチネルリンパ節生検

腋窩リンパ節の全摘はリンパ浮腫などの悪影響がある **** センチネルリンパ節 センチネルリンパ節の仮説によれば、腫瘍細胞は原発腫瘍から拡散した腫瘍細胞は1個又は数個のリンパ節に転移する。青色の染料又は放射線トレーサ又は両方を腫瘍の周囲の皮膚…

浸潤性乳癌の手術

医学の進歩により、早期の乳癌では乳房を温存でき、ほとんどの腋窩リンパ節を残すことができ、リンパ浮腫を免れることが出来る。 根治乳房切除術と非定型根治的乳房切除術 根治的乳房切除術(乳房組織、腋窩リンパ節、及び胸筋の切除)は長年に渡り乳癌治療…

経皮冠動脈形成術と冠動脈バイパス手術の比較

冠動脈形成術は安易に行えるが、冠動脈狭窄の再発リスクが高い **** 経皮冠動脈形成術又は冠動脈バイパス移植手術の選択は患者の病状と心臓及び冠動脈の状態により行われるが様々な問題がある。 経皮冠動脈形成術が行われる場合 患者に急性の冠動脈症候…

冠動脈バイパス移植手術の適応症

日本では、バイパス手術は経皮冠動脈形成術より安全で、合併症も少なく、より確実な手術である **** credit: 狭窄血管、Homeopathic Treatment 冠動脈バイパス移植手術 冠動脈バイパス移植手術は冠動脈の狭窄又は閉塞部を患者から採取した他の血管と入れ…

冠動脈バイパス移植術 ― 伏在静脈と内胸動脈

移植用の血管は体に備わっている **** credit: 内胸動脈、TERUMO 冠動脈バイパス移植手術 アテローム性動脈硬化による冠動脈狭窄は患者に病状を引き起こし、重症化すると死に到る。冠動脈狭窄は血管造影検査で判定でき、狭窄冠動脈の血流を迂回させる血…

乳房再建術で予期できない副作用が現れる

再建した乳房は無感覚になる **** 乳癌治療 乳癌を発症したり、遺伝子検査で乳癌のリスクがある場合は、乳房を失うことになる。患者は喪失感に苛まれることになる。近年、外科手術が飛躍的向上し、切除した乳房とほぼ同じ形状で乳房を再建することが可能…

胸の痛み

軽度の筋骨格系疾患から致死率の高い大動脈解離まで **** 胸の不快な症状や痛みは冠動脈疾患や心筋酸素消費量と供給量の不均衡による心筋虚血の重大な徴候である。胸が急に痛くなり、症状が持続する場合は急性心筋梗塞、不安定狭心症、又は大動脈剥離が…

腹膜癒着

開腹手術の合併症は時間が立ってから腸閉塞となって現れることがある **** 腹膜癒着が起こると、小腸閉塞を併発することが多い。腹膜癒着は開腹手術の合併症として起こる。腹腔内感染、虚血、及び異物により腹膜癒着のリスクが高まる。開腹手術を受けた…

腸重積 

小腸が大腸に嵌入して腸閉塞を起こす疾患 **** credit: 腸重積、Mayo Clinic 腸重積は腸の一部が腸の他の部分に引き込まれて生じる疾病で、腸閉塞を併発する。腸重積は小腸で生じるか、小腸が結腸に嵌入することによる生じる。腸重積は主に幼児に生じ、…

腸捻転

最大のリスクは加齢 **** 腸捻転の多くは(90%以上)S状結腸で起こるが、盲腸や横行結腸でも現れる。加齢が最大の発症リスク。腸捻転が腸間膜で起こると、腸閉塞を併発する。腸捻転患者の多くは慢性便秘、下剤の使用、大腸拡張歴がある。精神疾患や介護…

腹膜炎 ― 原因と治療のスピードにより致死率が大きく異る

腹膜炎が疑われるときは、患者を専門医療スタッフと設備の整った医療機関に救急搬送しなければ、命に関わる。 **** credit: Doctor Helicopter, Kojinkai **** 腹膜炎の分類 腹膜はなめらかな漿膜で腹腔及び骨盤腔を覆っている。腹膜で最も多い臨床上の…

虫垂炎 ― 虫垂の炎症

高齢患者が虫垂炎にかかると穿孔のリスクが高くなり、死に至る場合がある **** credit: Appendix, Unita General Surgery 急性虫垂炎は虫垂の炎症である。虫垂炎を発症すると、腹部の緊急手術が行われる。人間が一生で虫垂炎にかかる割合は約7%である。…

外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、及び大腿ヘルニア

男性と女性でヘルニアが現れる位置が異なる **** credit:根治手術で使用するメッシュ、HealthyViewpoints *** 腹筋または骨盤筋が弱くなることにより鼠径部にヘルニアが生じる。このヘルニアを鼠径ヘルニア又は大腿ヘルニアと呼ぶ。 疫学 男性の3から4…

大腸癌手術

転移なければ、癌切除が癌の基本的な治療法です。 **** 大腸癌が転移しても、一定の条件で、手術で根治治療が可能な場合があります。 credit: Surgical needle, CS Labo 結腸癌は癌に血液を供給している動脈とリンパ管をひとまとまりに切除し、癌細胞が…

大腸癌の病期分類と予後

結腸癌が転移すると5年生存率は6から8%と非常に低くなる。 **** 大腸癌の病期分類(ステージ決定) 大腸癌のの予後と効果がある治療法を決定するために正確に病期分類(ステージ決定)する必要があります。他の癌と異なり、大腸癌のステージは大きさで…

腺腫性ポリープの切除と予後

内視鏡によるポリープ切除術で直腸結腸癌の発症や死亡が低減する。 **** 腺腫性ポリープは一般的に症状は現れませんが、無症候性の便潜血又は血便が見つかることがあります。腺腫を切除した患者が生涯で再発する可能性は30から50%です。腺腫が癌化する…

麻酔によるアナフィラキシー

アレルギーがあると麻酔で命を落とすことがある。 **** 患者に麻酔か効いている状態で、命に関わる過敏反応(アナフィラキシー)が起こる場合があります(アメリカでの調査では4,000から20,000人に1人)。アナフィラキシーは免疫グロブリン…

麻酔薬のリスク ― 麻酔を使用する前に必要な検査

持病の治療薬が麻酔薬に影響して、合併症を引き起こすことがある **** 手術を受けるときは、患者は痛みを軽減するために麻酔を受けます。患者が健康な場合、麻酔が原因で死亡する割合は非常に低く、アメリカでの調査によれば2万人に1人だと言われてい…

全身麻酔

麻酔の管理が悪いと重篤な後遺症で死に至る場合がある。 **** 全身麻酔を受けると、患者は完全に意識がなくなり、手術中、痛みを感じなくなります。全身麻酔は麻酔薬の注射と麻酔ガスの吸入を組み合わせて行います。全身麻酔を受けると脳は痛みの信号に…

虫垂炎

高齢者で虫垂炎になると虫垂破裂のリスクが高くなる **** 虫垂炎は虫垂(俗にいう盲腸)に生じる炎症です。虫垂炎を発症すると腹部の緊急手術により虫垂を切除する必要があります。虫垂炎は若年層に多く発症しますが、すべての年代で発症する可能性があ…

腹腔鏡手術

開腹せずに腹部の検査と手術を行う。 **** 腹腔鏡手術は腹部に開けた切り口から発光するチューブ(腹腔鏡)を挿入して内臓や骨盤内器官を検査する手技です。腹腔鏡手術は嚢胞、類線維腫、及び感染などの疾患を検査することが出来ます。腹腔鏡で体内の組…

鼠径ヘルニア 

放置すると命にかかわる **** 腹筋の衰えや異常により鼠径部に、鼠径ヘルニアが起こります。男性の3から4%で鼠径ヘルニアを発症します。年齢とともに、発症率は増加します。鼠径ヘルニアは直ちに危険な病態ではありません。しかし、治癒することはな…

ナノナイフ

切除しないで腫瘍を消滅させる先端外科手術 **** ナノナイフは高圧電流によって腫瘍の癌細胞に穴をあけて死滅させる治療法です。2008年アメリカ食品医薬局(FDA)の認可を受けて欧米を中心に行われています。ナノナイフは重要な血管があるためにこれまで…

切断した指の接合

失った物は無理して取り戻さない! **** 指を切断した場合は、外科医の手術により接合することは可能ですが、元通りに指が動かなかったり、後遺症がでることもあります。 指の切断部が汚れていたり、不完全な状態であれば接合はできません。 一般的に指…

熊本地震とクラッシュ症候群

熊本地震では多くの方が家屋の倒壊に会い、瓦礫や、倒れた家具の下敷きになるなど被害者が続出しています。長時間体を挟まれた人で自力で抜け出て、比較的元気であっても、容態が急変し死に至る場合があります。この致死性の高い症候をクラッシュ症候群と言…

手先の不器用な外科医も名外科医になれる?

ダビンチロボット手術 これまで、外科医は手先の器用さが絶対条件でした。歳を取れば手の震えで引退を余儀なくされることもありました。それ故、外科医の数も不足気味でした。それを解決しそうな技術がロボット手術システムであるダビンチです。 ダビンチは…

彫師は外科医ではありません!

タトゥーは安全だろうか? タトゥーは通常彫師が針を使ってカラーインクを皮膚に入れて作ります。 これまでタトゥーを入れる人の数が少なかったため、あまり問題が起きませんでした。 タトゥーを入れた後タトゥーインクが身体に及ぼす影響が多数報告されてい…

死亡順位2位の癌を高い精度で早期に発見する方法

死亡順位2位の癌とは大腸癌です。死亡順位1位は胃癌、2位は大腸癌、3位は肺癌です。(2011年日本対がん協会統計) 大腸癌は腸壁にポリープが出来ることから始まります。ポリープが大きければ大きいほど前癌症状で、癌になる可能性が高くなります。非…