医学よもやま話

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腸捻転と腸閉塞の違い

腸捻転で腸閉塞が起こる。

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腸捻転

腸捻転は腸自身のねじれであり、多くはS状結腸に多く見られるが(90%以上)、盲腸や横行結腸でも多く見られる。高齢者はリスクが高い。大腸が腸間膜と癒着すると腸捻転により腸閉塞が起こる。

腸捻転患者には慢性の便秘が有るか下剤の慢性的な使用歴がある。更に、介護施設入所者には腸捻転のリスクが高くなる。

腸捻転の症状として急性の膨満感、吐き気、嘔吐、腹痛が起こる。激痛や圧痛は腸に虚血及び穿孔が生じていることを示唆している。

治療しないで放置すると、腸閉塞により患部が壊死し、腹膜炎、大腸の破裂、及び死に至る。キリキリする激痛、吐き気、嘔吐、腸音欠如、腸の拡張は腸捻転を示唆し、X線検査で確定診断される。

 

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体循環と肺循環の違い

酸素、二酸化炭素、栄養分、及び老廃物の循環路

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Credit:  “Pulmonary and Systemic Circulations”, Educational channel

 

体循環

体循環は酸素と栄養分を含んだ血液が心臓の左心室から大動脈及び他の動脈を通り全身の毛細血管に送られ、二酸化炭素と老廃物を含んだ血液が静脈及び大静脈を通って右心房に戻る血液の流れである。

体循環で送られる血液には赤血球と血漿が満たされるが、これらの成分は血液が流れる方向により異る。心臓から酸素を含んだ血液が全身に送られる、酸素を失い二酸化炭素を含んだ血液が心臓へ戻る。

左心室は動脈から酸素を含んだ血液を全身に送り出し、左心房は全身からの酸素を失い二酸化炭素を含んだ血液を静脈から受け取る。

動脈と静脈の間には赤血球とほぼ同じ大きさの毛細血管があり、酸素、二酸化炭素、栄養分、及び老廃物の受け渡しを行う。

 

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「おくび」と「おなら」の違い

おくびは吸い込んだ空気の口からの排出で、おならは腸内細菌が作った二酸化炭素とメタンガスの肛門からの排出である。

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Photo: 炭酸飲料でおくび(ゲップ)がでる。

 

おくび

おくび(ゲップ)は食道又は胃からの不随意又は随意のガスの放出であり、通常食事中又は食後に口から外に排出される。

おくびの原因は食道や胃にたまった空気であり、急いで食事をしたり、炭酸飲料を飲んだり、ガムを噛んだり、喫煙により多くなる。さらに、重炭酸ナトリウムの制酸剤を服用すると、胃の中で胃酸と中和して二酸化炭素が発生し、おくびとなって口から外に排出される。

重大な胃腸障害があると、おくびの回数が増加する。胃食道逆流、機能性ディスペプシア、胃不全麻痺が考えられる。慢性的で過剰におくびがでるときは空気嚥下機能障害であり、行動療法による治療が必要である。

 

おなら

おならは腸内細菌により作られた二酸化炭素とメタンであり、正常な消化作用による副産物である。健康な成人は1日に10から20回おならがでており、容積は1.5リットルに達する。従って、おならが正常が異常かを判定することは困難である。

下痢でおならの回数が多い場合は消化吸収疾患の可能性がある。セリアック病(小児脂肪便症)、膵機能不全(膵外分泌腺の分泌不全)、小腸における細菌異常増殖が考えられる。

小腸で不完全に吸収され、大腸に送られる炭水化物として乳糖(乳製品)、果糖、ソルビトール(食品添加物)、トレハロース(酵母や菌類に含まれている糖)などがあり、これらを多く摂取すると、おならが増加する。

 

参考文献

Kenneth Mcquaid, “Approach to the Patient with Gastrointestinal Disease”, Cecil Medicine

心房と心室の違い

心房は肺と全身から血液を受け入れ、心室は血液を肺と全身に送り出す。

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Credit:  “The Anatomy of the Heart”, Wisc-Online

 

人間の心臓は2つの心房と2つの心室に区分されている。

心臓は血液を血管を介して体の隅々まで送る臓器であり、肺循環と体循環を維持している。

これらの循環で、左心房は肺から酸素を含んだ血液を受け入れ、左心室はこの血液を全身に送り出す。右心房は全身から酸素を失った血液を受け入れ、右心室この血液を肺に送り出す。

これらの循環で、両方の心房は同時に収縮して血液をそれぞれ隣接した心室に送り出す。両方の心室も同時に収縮し、血液を肺と全身に送り出す。

 

心房

人間の心臓の上部には左心房と右心房の2つの心房がある。心房は血液受け入れ収縮により血液をそれぞれ隣接した心室に送り出す。左心房は肺静脈を介して肺から酸素を含んだ血液を受け入れ、この血液を僧帽弁を介して左心室に送り出す。右心房は酸素を失った血液を上下大静脈を介して全身から受け入れ、この血液を三尖弁を介して右心室に送り出す。左心房は右心房よりはるかに小さい。

 

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捻挫と挫傷の違い

無理な姿勢を長時間続けると歩行が困難になることがある。

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Credit:  “Treatment for Ankle Sprain or Twisted Ankle”, Epainassist.com

 

捻挫は靭帯の損傷であるのに対して。挫傷(筋違い)は筋肉又は腱の損傷である。

捻挫と靭帯の症状は多くの点で似ているが、捻挫では青あざができ、挫傷では筋肉に痙攣が起こる。

捻挫と挫傷による損傷や症状は非常によく似ているため、混同されることが多い。

 

捻挫

捻挫は靭帯の可動範囲を超えた動きや断裂であり、くるぶしの関節に多く生じる。靭帯は関節の2つの骨をつなぐ帯状の組織である。

 

挫傷

挫傷は筋肉や腱の可動範囲を超えた動きや断裂であり、膝の後(ひかがみ)や腰部に多く生じる。

 

原因

人間は体を激しく動かすと、捻挫や挫傷が起こる場合がある。

スポーツの練習(ジョギングを含む)時、事故の遭遇(転倒)、重量物の持ち上げ時、無理な動作時、無理な姿勢での着座や起立時、長い反復動作時に捻挫や挫傷がよく起こる。

 

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血栓と塞栓の違い

出血性梗塞は塞栓と再灌流により生じ、虚血性梗塞は血栓により生じる。

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Credit:  “What is the difference between a blood clot and a thrombus?”, Bioiberica SAU

 

脳梗塞には出血性と虚血性があり、それぞれ赤色梗塞と白色梗塞と呼ばれている。

 

血栓と塞栓

血栓も塞栓も脳梗塞を引き起こすため、血栓と塞栓はひとまとめに扱われることが多いが(脳卒中はときに血栓塞栓症とよばれる)、血栓による梗塞と塞栓による梗塞は非常に異なる。これらの治療法は異なるため、独立して考えるべきである。

 

赤色梗塞

赤色梗塞では再灌流により血管が破裂して血液が遊出する。この場合、血塊が血管に留まり、フィブリン溶解作用により血栓が溶解し下流方向に移動する。血管の閉塞がなくなるため、血流が再開するが、血塊により血管が損傷しているため、血液が漏れ、正常な血流が維持できない。画像検査では赤く見える。

 

白色梗塞

白色梗塞では、血栓の一部である血塊が時間をかけて血管に蓄積し、血流が徐々に減少する。最終的には血流が完全に止り、画像検査で患部が白く見える。

 

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感染症と敗血症の違い

感染症が重症化すると敗血症で死に至る。

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Credit:  “IV Fluid Administration”, Utah Valley University IV fluid, administration and calculations video for nursing students

 

感染症

感染症は微生物により引き起こされる疾病で、微生物は毒素を分泌したり人体の組織に侵入する。マラリア、結核、肝炎、及び腸炎など感染病は他の原因より多く人を障害や死に至らせる。感染は微生物の体内におけるコロナイゼーションと異なる。微生物のコロナイゼーションは人体に害はなく、むしろ有益な場合がある。例えば、腸内細菌はビタミンKを作り出す。これに対して感染病は人体に害を及ぼす。

感染を引き起こす病原体として細菌、ウイルス、真菌、原生動物、及び寄生虫がある。

免疫力が低下していると、命にかかわる感染病にかかることがある(乳児、高齢者、栄養不足、外傷、白血病患者、及び糖尿病、腎不全、ガン、無脾症、アルコール中毒、心臓疾患、肺疾患、及び肝臓疾患などの慢性病患者など)。

病気を引き起こす病原体は年令に関係なく、元気であった人をも苦しめる。これらの病原体による疾患として性感染症(単純ヘルペス、クラミジア)、呼吸疾患(インフルエンザ、水痘)、及び食物系又は水系感染病(コレラ、住血吸虫症)がある。

 

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