医学よもやま話

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吐き気と嘔吐

胃腸障害と非胃腸障害に分類される。

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吐き気

吐き気は嘔吐が切迫した不快な感覚である。

 

嘔吐

嘔吐は胸腹筋肉組織の圧迫により十二指腸及び幽門洞の逆方向収縮により胃内容物が口腔に排出されることである。

2から3時間前に食べた物を嘔吐した場合は胃幽門閉塞又は胃不全麻痺が疑われる。

 

吐き気と嘔吐の原因別分類

吐き気や嘔吐は胃腸障害又は非胃腸障害によるものであるが、慢性及び腹痛の有無で分類される。

 

腹痛を伴う吐き気と嘔吐

重度の腹痛を伴う急性の嘔吐は外科手術が必要な重大な疾患の可能性が高い。胃腸管閉塞、腸間膜虚血、膵臓炎、胆石疝痛、又は虫垂炎や内臓穿孔のような腹膜炎を発症する疾患が考えられる。

腹痛を伴う慢性又は反復性吐き気及び嘔吐は胃腸障害による胃又は小腸の部分又は断続的な閉塞の可能性が高い。

上部消化管の内科的障害又は外科的障害により嘔吐が起こる。腹痛の後に嘔吐が現れる場合は外科的障害であり、嘔吐の後に腹痛が現れる場合は内科的障害である(食中毒、胃腸炎)。

 

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昏睡と昏迷の違い

刺激に対する反応の有無

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昏睡

昏睡は目を閉じて、無反応の状態で、意識も覚醒もない病態である。患者は刺激を与えても意識を取り戻したり覚醒することはない。

昏睡には刺激に対して反射するレベルがある。昏睡は意識障害の中で最も重いものである。

昏睡は脳の外傷、浮腫、炎症、虚血、又は腫瘤病変、あるいは代謝性又は毒性脳障害により起こる。

 

昏迷

昏迷は昏睡より軽度な意識障害である。刺激を与えると一時的に反応を示すが、刺激を止めると、反応がなくなる。

 

身近な混迷と昏睡

短時間に大量の飲酒をすると血中アルコール濃度が急上昇する。とくに、アルコール耐性がないと、300から400mg/dLを超えると混迷、昏睡、又は死に至る。

 

関連情報:

昏睡の予後

昏睡患者の緊急治療

昏睡が起こるわけ

意識障害の比較 ― 昏睡、植物状態、及び脳死

高齢者の健康に影響を及ぼす要因

高齢者各人で健康状態が異なるわけ

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病的症状

老人と若者や中年では同じ病気にかかっても症状が大きく異なる。

高齢者では複数の慢性疾患にかかっているのが普通である。65歳以上の高齢者の約半数は2つ以上の慢性疾患を罹患している。

高齢者が介護を受けるリスクは罹患している慢性疾患の数に比例する。さらに特定の疾患の組み合わせによっても、介護を受けるリスクが相乗的に増大する。

高齢者の18%が関節炎と心臓病を併発していると推定されている。これらの疾患は単独でも介護を受けるリスクが3から4倍に増加するのに対して、併発するとリスクは14倍になる。

認知症などの慢性疾患にかかると、他の慢性疾患の症状が見逃されることがある。

 

疾病の兆候と症状

高齢者と若者では同じ病気でも兆候と病状が異なる場合が多い。

高齢者が心筋梗塞を発症すると、胸の痛みより精神状態の変化、めまい、脱力感などが強く現れるため、治療が遅れることがある。

 

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高齢者の本当の死亡原因

高齢者は複数の要因が重なって死に至る。

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Photo:  介護施設の談話室、介護付有料老人ホーム アリア深沢 

 

高齢者の死亡原因

日本人の65歳以上の高齢者の死因の1番目はガン、それに心臓病、脳血管疾患、及び肺炎が続いており、最初の3つの病気で全死亡者数の過半数を占めている。

85歳以上の高齢者では心臓病が全死亡者数の約20%である(注1)。

 

高齢者の死亡の複合要因

高齢者の死亡の多くは複合要因による。研究によると、要因には社会人口学的特性、健康に影響する習慣、心臓血管のリスク要因、有症状及び無症状の疾患、身体の障害、及び認知障害が含まれる。

これらの要因は高齢者であっても年齢が死因の決定要因でないことを示唆している。

 

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慢性疾患と急性疾患の違い

治らない病気と治る病気

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Credit:  人工透析、”How Does Dialysis Work?”, Christian Fite

 

慢性疾患

慢性疾患は長期に患う疾患であるが、通常、急性疾患より症状が軽い。しかし、進行性、全身又は体の一部の障害、最終的には死に至ることもある。慢性疾患の例としては糖尿病、肺気腫、及び関節炎がある。

慢性疾患には更に膠原病、がん、動脈硬化性心疾患、高血圧、アルツハイマー病も含められる。病状は6ヶ月以上持続し、長期の治療が必要であるが効果は限定的である。完治することや発病前の状態に戻ることはほとんどない。

リスクとして喫煙、運動不足、肥満がある。

 

急性疾患

急性疾患では、突然重い症状が現れる。急性疾患は患者の健康状態に応じて回復、慢性疾患、又は死に至る。例として肺炎や虫垂炎、感染、外傷、骨折がある。通常、治療効果があり、1ヶ月未満で治癒又は発病前の健康状態を取り戻す。

 

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角膜と網膜の違い

角膜はピントを合わせ、網膜は光を信号に変える。

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Credit:  目の構造、参天製薬

 

角膜

角膜は眼球の一番外側に位置している透明な繊維質の膜であり、他の部分より大きな曲率を有する最も重要な屈折面である。角膜は厚さが均一で血管がなく、強膜からドーム状に突起している。

角膜の曲率は人により異なる他、年齢により変化する。加齢により曲率は低下する。

角膜の成分の約78%が水分、約15%がコラーゲン、約5%がその他のタンパク質である。コラーゲン小繊維が規則並んでいることで透明度を高めているが、この配列が害されると(膨張、圧力)、透明度が失われる。

角膜は角膜上皮、ボーマン膜、角膜実質、デスメ膜、角膜内皮の5層から出来ている。

角膜には血管が通っておらず、栄養は薄膜間で浸透により供給される。栄養源は房水、涙、及び辺縁毛細血管である。

角膜は人体で最も感度の高い組織であり、知覚神経が高密度に張り巡らされており、三叉神経の第一枝である眼神経がつながっている。

 

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盲腸、虫垂、虫垂炎の違い

日本人が盲腸というとき、それは虫垂炎を意味している。

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Credit:  腹腔鏡下虫垂切除術、Laparoscopic appendicectomy、Brisbane Surgeon 

 

盲腸

盲腸は英語では”cecum”で「一端が開口した空洞」を意味する。大腸の最初の器官で袋状であり、上行結腸との接合部の下に位置し、回盲弁で小腸の最後の部分である回腸につながっている。

 

虫垂

虫垂は盲腸の終端である盲端部分から延びている蠕虫様の大腸憩室である。

 

虫垂炎

日本人が盲腸という時、それはほとんどの場合虫垂炎を意味している。

虫垂炎は虫垂の炎症である。

虫垂の機能はまだ十分解明されていないが、虫垂炎は命にかかわる疾患である。治療しなければ、虫垂破裂により致死性の感染を起こす可能性が高い。

疫学  虫垂炎は児童や青年が最も多く発症する腹部の救急疾患である。生涯で15人に1人が虫垂炎を発症すると言われている。

発症率は男性では10から14歳が最も多く、女性では15から19歳が最も多い。思春期から25歳では男性が女性より多く発症する。高齢者や2歳未満では発症者は少ない。

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