読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

医学よもやま話

医学情報をご提供します。

三叉神経痛

神経学

顔に風が当たっただけで死にたくなるほどの痛みがでる

****

 

f:id:tpspi:20170322102659g:plain

疫学

三叉神経痛は三叉神経が刺激を受けると、激痛が生じる疾患。三叉神経痛の有病率は10万人に4人。年齢層は50から60代が多く、女性患者と男性患者の比率は1.5対1の割合である。

 

病理学

若年層では多発性硬化症により、高齢者層では椎骨脳底動脈の拡張によるものが多い。三叉神経根底部が病変部位であると考えられている。この部位で髄鞘脱落や圧迫が起こることで、求心性線維に「発火」が生じる。

続きを読む

薬理学的昏睡 ― バルビツール誘発性昏睡

脳神経疾患 脳神経外科

バルビツール薬を適量投与することにより患者を一時的に昏睡状態にして、脳の活動を抑えて、回復させる

****

f:id:tpspi:20170225083113g:plain

 

バルビツール誘発性昏睡はバルビツール薬を適量投与することにより患者を一時的に昏睡状態(深い無意識状態)にする療法である。

 

バルビツール誘発性昏睡は主要な脳外科手術で脳を保護するために行われる。さらに、癲癇重積持続状態で他の治療で効果がない場合、最後の手段として使用される。この治療法を行うときは、患者は全身麻酔又は昏睡状態であるので、人工呼吸器などを使って、気道確保が必要である。

 

バルビツール薬の効果

バルビツール薬は脳の血流や脳組織の代謝速度を低下させる。これにより、脳の血管が狭くなることにより、脳内での体積が減り頭蓋内圧が低下する。

 

脳内の腫脹の軽減や頭蓋内圧の低下により脳の損傷が回避できる。バルビツール誘発性昏睡により死亡率の低下が多くの研究により裏付けられている。

続きを読む

外傷性脳損傷の治療

救急医療 脳神経外科

軽度又は中度の外傷性脳損傷患者は救急病院に搬送されるまでに意識が正常に戻ることがある。脳震盪が重度であると意識回復に時間がかかる。

****

 

f:id:tpspi:20170321101133g:plain

外傷性脳損傷の種類

外傷性脳損傷には緊急の外科手術が必要となるものと、そうでないものがある。穿通創、脳内出血(硬膜下出血及び硬膜内出血を含む)、及び頭蓋骨骨折(変位骨折及び頸椎亜脱臼)では緊急手術が必要になる。これに対して、限局性、低酸素、無酸素、びまん性軸索、びまん性微小血管性などの障害では外科手術は不要である。

 

外傷性脳損傷の特定

外傷性脳損傷が特定できないときは、患者はICUで治療をうけなければならない。患者の病態がグラスゴー・コーマ・スケールのスコアが8以下のときは、頭蓋内圧モニターを使用する。脳室内カテーテルを使用すれば精度の高いデータが得られる。

 

治療目標

治療の当面の目標は外傷を抑え、脳の機能を温存し、可能であれば脳機能を回復し、二次的な合併症を防ぐことである。しかし、現在行われている治療は灌血流圧の維持、頭蓋内圧上昇の最小化、及び間接的な浮腫の治療に限定されている。

続きを読む

頭蓋内圧低下症

脳神経疾患 脳外科

脳内の脳脊髄液の漏れによる脳圧低下

****

 

f:id:tpspi:20170228111311g:plain

疫学

頭蓋内圧低下症は頭痛を引き起こす疾患で、患者が仰向けになると頭痛が収まり、起き上がると悪化する。この頭痛は一次性頭痛のことも、他の疾患により引き起こされる二次性頭痛の場合もある。原因として腰椎穿刺が考えられる。

 

頭蓋内圧低下症は以前は、まれな疾患であると考えられていたが、最近の画像診断技術の向上により10万人につき5人の割合で見つかっている。

 

病理学

原発性の頭蓋内圧低下症の原因として腰部の硬膜からの髄液の漏れが考えられる。硬膜の破れによるものか、硬膜外の低静脈圧によるものである。

 

臨床症状

頭蓋内圧低下症は臨床的には痛む位置が移動する頭痛を特徴とする。後脳ヘルニアを発症すると、複視が現れる。

続きを読む

カナダ頸椎規定

救急医療 整形外科

放射線画像検査で使用される放射線と造影剤は人体に有害であるため、カナダでは検査が必要な条件が規定されている

****

 

f:id:tpspi:20170319181241g:plain

image:  Canadian C-Spine Rule

 

カナダ頸椎規定は頭部又は頸部に障害を負った患者が救急搬送された場合、脊椎損傷の診断で放射線画像検査の必要性を判断するための兆候、症状、及び条件を規定している。

 

次の場合はハイリスクな要因であり、放射線画像検査が必要:

  • 65歳以上、
  • 危険な事故(*1)、又は
  • 手足に麻痺がある。

 

次の場合は移動させても安全なためリスクが低いため、放射線画像検査は不要、それ以外は放射線画像検査が必要:

  • 後方からの単純なバイクによる追突(*2)、
  • 救急病院では椅子に座っている、
  • 歩行が可能、
  • 頚部の痛みが遅く現れる、又は
  • 頸椎正中に圧痛がない。

 

首を45度左右に回転できなければ放射線画像検査が必要。

 

次の場合はカナダ頸椎規定は適用しない。放射線画像検査が必要:

  • 外傷がない、
  • グラゴー・コーマ・スケールのスコアが15以下、
  • バイタルサインが不安定、
  • 年齢が16歳未満、
  • 急性の麻痺がある、
  • 頸椎疾患がある、又は
  • 頸椎手術の経験がある。

 

危険な事故:

  • 落下(1メートル、階段5段以上)、
  • 頭の軸方向の荷重(水泳の飛び込み)、
  • 高速でのバイクの転倒、落下(時速100km以上)、又は
  • バイクの衝突。

 

後方からの単純なバイクによる衝突に含まれない事故:

  • 正面走行の車両に突き飛ばされる、
  • バス・トラックとの衝突、
  • 転倒、又は
  • 高速車両による追突。

脊髄と脊椎の違い

整形外科 解剖学

脊髄は中枢神経系の一部であり、脊椎は骨格系の一部である

****

f:id:tpspi:20170319144136g:plain

credit:  vertebral column, StudyBlue

 

脊髄は中枢神経系の一部であり脊椎の内部にある。脊椎は骨格の一部である。脊髄および脊椎は共に体の後側にある。体の発育段階では脊髄と脊椎の長さは同じであるが、成長に連れて脊髄が脊椎より長くなる。

 

脊髄

脊髄は中枢神経系に属する神経鞘であり、胸郭、腹部、及び骨盤腔のほとんどの臓器や血管の制御を行う。脊髄の髄膜は硬膜、くも膜、及び軟膜から構成されている。脊髄の上端は脳幹につながっている。下端は脊椎の上から約3分の2の位置にある。

 

脊髄には2つの膨大部がある。頸部膨大部と腰膨大部。人の脊髄には31対の脊髄神経がある。各神経対は体の1つの部位につながっている。脊髄神経対は5つに分類される。8対の頸髄、12対の胸髄、5対の腰髄、5対の仙髄、及び1対の尾髄。

続きを読む

外傷性脊髄損傷の診断

救急医療 脳神経疾患

検査に異常がなく、脊椎に痛み、痺れ、刺痛感、脱力感がなければ、脊髄損傷の可能性は低い

****

 

f:id:tpspi:20170319105428g:plain

外傷性脊髄損傷の診断では損傷の程度及び障害の重症度を判別する他に神経学検査が必要である。これに加えて、早い段階で神経障害の程度を詳細に記録する必要がある。

 

患者の感覚が正常であり、神経学検査の所見が正常であれば、放射線画像検査は行わない。脊椎の痛み、痺れ、刺痛感、脱力感がある場合は脊髄損傷を疑う。特に、手に焼けるような痛みがある場合は外傷性脊髄損傷を疑う。

 

障害が起きた時刻を正確に記録する必要がある。神経障害が部分的な場合は予後は良好である。急性期には検査は複数回行う必要がある。

 

脊髄損傷が疑われる場合は、患者を適切に固定する必要がある。頚椎カラーと脊柱矯正板を使用する。患者の神経学検査が正常であり、痛みがなければ(大腿骨骨折の場合は足の運動感覚検査ができない)、頚椎損傷の可能性は低い。

続きを読む