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胆石と腎臓結石の比較

食物繊維は胆石のリスクを低くするが、腎臓結石のリスクを高くする。

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Photo: 食物繊維の過剰摂取は腎臓結石ができやすい

 

胆石

肝臓は消化を助けるために胆汁を作り出す。胆嚢は肝臓で作られた胆汁を蓄える働きがある。

胆石は胆汁に含まれている成分が胆管又は胆嚢で固まったものである。

胆汁はコレステロール、水、脂肪、タンパク質、及びビリルビンでできている。ビリルビンは黄褐色の色素である。胆汁にコレステロール又はビリルビンが過剰に含まれると胆石ができる。肥満やコレステロールや脂肪を多く摂取すると胆石ができやすくなる。女性は男性と比較して胆石ができやすい。

胆石では症状がなく、多くの患者は気づかない。時間の経過とともに胆石が大きくなると、胆管を塞ぐようになる。胆石が胆管を塞ぐと痛みが生じる他、炎症や感染症などの合併症が起こることがある。これらの場合は胆石の除去が必要である。

胆石の除去には胆嚢の摘出は不要であるが、胆石が頻繁にできる場合は、胆嚢摘出が推奨される。胆嚢を摘出しても、消化に問題は生じない。

胆石の主な症状は吐き気、多汗、悪心、発熱、悪寒、肋骨下の痛み、肩甲骨間の痛みである。胆石で胆管が閉塞すると、黄疸が現れ目や皮膚が黄色になる。

黄疸や悪寒を伴う発熱がある場合は胆石の重大な合併症状が現れているため、直ちに治療を受ける必要がある。

胆石ができるリスクを避ければ胆石を予防することができる。そのため、食事に気をつける。油やコレステロールの多い食物は控え、繊維質を多く含んでいる食物を摂取する。さらに、減量することにより胆石のリスクが低くなる。

 

腎臓結石

腎臓は血液を濾過し、老廃物や過剰な水分を体外に排泄する。腎臓にミネラルが蓄積すると腎臓結石が起こる。この病態の主要な原因は水分摂取の不足である。

腎臓はミネラルを処理するために水を使用する。体内に十分な水が無いと腎臓はミネラルを処理できず、蓄積により、腎臓結石が生じる。腎臓結石のこの他の原因としては肥満、遺伝、食事、年齢、カルシウム・サプリメントがある。男性は女性と比較して腎臓結石ができやすい。

胆石と同様に、腎臓結石も無症状であり、時間の経過とともに、腎臓結石が尿管を塞ぐと、痛みがでる。ほとんどの場合、水分を十分に摂取することにより、腎臓結石は自然に体外に排出される。腎臓結石が大きすぎる場合や合併症が起きる場合は、砕石術により腎臓結石を除去する。

胆石と同様な症状が現れる他、腎臓結石では断続的に痛みが現れ、尿に血が混じることがある。

腎臓結石では、脱水症状にならないようにすることが重要である。水を多く飲むように心がけ、パセリ、ほうれん草、イモ類など、シュウ酸塩を多く含んだ食物を控える必要がある。(注1)

 

まとめ

  • 胆石も腎臓結石はそれぞれ胆嚢と腎臓に石状の物質が存在する病態であり、大きくなると臓器の働きを妨げ、激痛が生じる。炎症や感染症を起こした場合は、除去しなければならない。
  • 女性は男性より胆石ができやすく、男性は女性より腎臓結石ができやすい。
  • 食物繊維は胆石のリスクを低くするが、腎臓結石のリスクを高くする。

参考文献

John Hinson, “Gallstones vs. Kidney Stones – What’s the Difference?”, Florida Medical Clinic

注1: “Oxalic Acid Content of Selected Vegetables”, Agricultural Research Service, United States Department of Agriculture

体性痛と内臓痛の違い

体の表層の損傷による限局的な痛みと体の内部の組織損傷による非限局的な痛み

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痛みとは

体の組織に損傷が起こると神経系が刺激を受け、脳が痛みを感じる。痛みは体性痛と内臓痛に分類される。

女性が男性より体性痛と内臓痛の両方の痛みがでやすい。理由として女性は男性より刺激反応性が高く、骨粗鬆症による骨折や生殖器に関する病気にかかりやすいからである。

遺伝子は痛み感じ方に大きく影響を及ぼしており、疼痛受容体の数が多ければより痛みを感じやすくなる。鬱病やストレス等、精神に異常があれば痛みを感じやすくなる。

痛みは複雑で主観的であるが、原因の病気を治療することにより痛みはなくなる。

 

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無気肺と気胸の違い 

肺の一部又は全部が潰れる病態と、胸膜腔に空気が貯まる病態。

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Image: 気胸における周辺臓器の状態

Credit:  “Pneumothorax What Is a Pneumothorax or Collapsed Lung Video About com

 

無気肺

無気肺は片方の肺の一部又は全部に影響を及ぼす肺組織が潰れた病態である。この病態では酸素を体の組織に送り出すことができなくなる。

無気肺は気道閉塞により肺胞が潰れることにより生じる。肺胞は薄い膜で覆われ、血液が供給されている。

肺胞は酸素と二酸化炭素を交換するために重要な役割を担っている。気道が粘液、異物、または腫瘍で塞がれると、肺胞には空気が満たされなくなり、患部は潰れてしまう。

無気肺は胸や腹部の外科手術の後遺症として呼吸をすると胸や腹部に痛みがでる場合に生じることがある。

症状として息切れ、心拍数や呼吸数の増加が見られる。さらに酸素濃度の低下によるチアノーゼが生じることもある。

治療方法としては深い呼吸を行うことと気道における障害物の除去があげられる。

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気胸

気胸は胸部や胸膜腔に空気やガスが溜まり、肺の一部又は全体が潰れる疾患である。

通常、肺にかかる圧力は肺周辺の胸膜腔の圧力より大きいが、空気が胸膜腔に入った時、胸膜の圧力が肺の圧力より大きくなると、肺の一部又は全体が潰れてしまう。気胸は一時的又は外傷によるものである。

気胸が急に起こったり、原因が不明の場合を自然気胸と呼ぶ。この病態は20から40歳で背が高く痩せ型の人に多い。気腫、嚢胞性線維症、結核、などの肺疾患患者では自然気胸のリスクが高くなる。

外傷性気胸は事故や胸腔穿刺術や人工呼吸器など胸腔に行われた治療による外傷により生じる。

緊張性気胸は外傷、慢性肺疾患、又は治療の合併症による重篤で命にかかわる病態である。緊張性気胸では、空気は胸郭に入るが、出ることができない病態である。胸膜腔の圧力が高まり、肺が完全に潰れてしまい、心臓と血管を押し付けてしまう。

症状として息切れ、胸痛、空咳、肩、首、腹部の痛みが現れることがある。

自然気胸では治療は不要であるが、大きな気胸ではカテーテルや胸腔チューブで空気を抜く。重度の場合は胸腔鏡を使用した外科手術が行われる。

 

まとめ

  • 無気肺は片方の肺の一部又は全部に影響を及ぼす肺組織が潰れた病態である。
  • 気胸は胸部や胸膜腔に空気やガスが溜まり、肺の一部又は全体が潰れる疾患である。

参考文献

Gale Encyclopedia of Medicine, The Gale Group, Inc.

Richard W. Light, “Atelectasis”, “Pneumothorax”, MSD Manual Professional Version

Pneumothorax What Is a Pneumothorax or Collapsed Lung Video About com

運動の健康へのメリットとデメリット

運動による健康のメリットはデメリットより遥かに大きい。

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Photo:  中度の運動としての水中エアロビクス

Credit:  “Water Aerobics Total Body Strengthening & Cardio AQUA WORKOUT#1 - WECOACH”, Water Exercise Coach

 

運動のメリット

多くの研究から中程度又は激しい運動を継続して行うと、年齢に関係なく、健康が向上することが判明している。代謝疾患、成人病、ガンなど様々な病気のリスクを下げることができ、転倒、認知障害、年令に応じた筋肉の減少、及び鬱病をも減らすことができる。

運動により股関節骨折、肺癌、子宮内膜癌、及び睡眠障害が軽減し、加齢による体の衰えを遅らせることができ、高齢でも自立した生活が送れる。

 

中度と激しい運動の例

中度の運動としてはウオーキング(1時間に5km)、水中エアロビクス、自転車(時速16km未満)、テニス(ダブルス)、ガーデニングなどがある。

激しい運動としては競歩、ジョギング、ランニング、競泳、テニス(シングルス)、自転車(時速16km以上)、縄跳び、重度の庭作業(穴掘り、鍬を使う作業)、重装備の登山がある。

 

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汗と寝汗の違い

汗は体温を下げ、寝汗は薬剤の副作用や病気や病態を表す。

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Credit:  “Shady Desert Sun”, Shady Mohamed

 

汗は体を冷やすための体のメカニズムである。気温が上昇したり、スポーツをしたり、興奮したりすると汗がでる。

体から汗が過剰に出る状態は通常、害はなく、治療可能であるが、甲状腺亢進症などの重大な病気の兆候の場合もある。

汗をかくことにより体温の上昇を防止できるため汗は非常に重要である。

体にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類の汗腺があり、異なる種類の汗を作り出す。

体温が上昇すると、エクリン腺はエクリン汗を皮膚の表面に分泌する。このため、汗が蒸発して、体温が下がる。エクリン汗は主に水と塩から作られている。

アポクリン腺は腋下、鼠径部などにありストレスが強くなると乳白色のアポクリン汗を分泌する。この汗は皮膚上の細菌により匂いがでる。

 

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脂肪肝と肝硬変の違い

肝細胞における脂肪の過剰な蓄積と、肝臓組織の瘢痕化による肝臓機能不全。

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脂肪肝

脂肪肝は肝臓内のトリグリセリドと他の脂肪の量が過剰になった病態である。

脂肪肝はそれ自体は有害な病態ではないが他の問題を引き起こす一過性又は長期の病態である。

肝臓は食物から摂取した脂肪を、体で使える状態にして蓄える。

トリグリセリドは体内に蓄えることができる脂肪でありエネルギーとして使用したり新しい細胞を作るために使用される。アルコールの過剰摂取、栄養失調、妊娠、又は中毒症状になると、肝臓における脂肪の分解が妨げられる。脂肪肝では、トリグリセリドを含んだ脂肪の塊が肝細胞に過剰に蓄積してしまう。

脂肪肝は無症状で、長期間気づかれない。重症になると肝臓の大きさが通常の3倍以上になり、痛みがでる。

脂肪肝は非アルコール性脂肪肝とアルコール性脂肪肝に分類される。

非アルコール性脂肪肝はアルコール摂取によらない疾患であり、単純脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎に分類される。単純脂肪肝では肝臓に脂肪が蓄積しているが肝臓に炎症はなく、肝細胞は損傷せず、肝臓障害や合併症は起きない。

非アルコール性脂肪性肝炎では肝臓に脂肪が蓄積している他、肝臓に炎症が起き肝細胞が損傷しており、瘢痕組織ができ、肝硬変や肝炎に進行することがある。

アルコール性脂肪肝は過剰なアルコール摂取で発症する。肝臓は摂取したアルコールのほとんどを分解して、体外に排出する。しかし、アルコールを分解する時、有害な物質が作られ、肝細胞の損傷、炎症、及び免疫機能の低下が起こる。アルコール摂取量に比例して肝臓が損傷する。

アルコール性脂肪肝はアルコールによる肝臓障害の最初の段階であるが、放置すると、アルコール性肝炎や肝硬変に進行する。

 

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かさぶたと傷跡の違い

瘡蓋と瘢痕

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かさぶた

かさぶた(瘡蓋)とは潰瘍、びらん、又は他の傷口が血液、うみ、血清、又はこれらが混じったものが凝固したものである。

かさぶたは赤錆色で乾燥しており、皮膚の傷口の表面に怪我から24時間以内にできる。

皮膚に切り傷や擦り傷ができると、傷口付近の血管が破れ血液が流れる。血液には血小板、フィブリン、及び血球が含まれており、血小板が集まり凝結して血餅ができる。血餅は血管からの血液の流出を防止する。フィブリンは血餅を患部に止める。

血餅の外側の表面が乾燥して(脱水状態になる)、赤錆色のかさぶたになる。

かさぶたは蓋のように治癒途中の組織の乾燥、感染、及び外部からの汚染物の侵入を防止する。

かさぶたの下では、新しい皮膚が作られ、傷が修復され、破けた血管も修復される。

血液中の白血球は傷口から侵入した病原体を死滅させる他、死んだ血球や皮膚の細胞を体内から排出する。これらの作業が完了するまでに、新しい皮膚が作られている。

新しい皮膚ができると、かさぶたは自然に剥がれ落ち、新しい皮膚が現れる。

この皮膚の修復は1から2週間で完了する。かさぶたは強固であるが、無理に取らないようにする。

かさぶたを無理に取ると、傷の修復を台無しにしてしまい、治癒が遅れていしまい、更に、傷跡が残ってしまう。

 

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